ここ数週間、コンスタンス・マーテン(35)という女性の動向が英国メディアを賑わせ続けている。
英国貴族マーテン家の跡取りである彼女は、名門寄宿学校からリーズ大学へ進学しアラビア語を修め、中東の衛星テレビ局アルジャジーラに就職。その後フリーランスのフォトグラファーとして活躍しながら演劇を学んでいた。INDEPENDENTによると、父親であるナピア・マーテンはクイーン・マザー(エリザベス2世の母親であるエリザベス王太后)の“名付け子”だという。
1月5日にイングランド北部ボルトンで、燃えているコンスタンスの車が発見された。CNNによれば、車内で出産した形跡があり、コンスタンスとその子どもの捜索が開始された。また捜査の過程で彼女と行動を共にしている人物が性犯罪の前科を持つマーク・ゴードン(48)であることもわかった。
顔写真も公開され、連日ニュースでも取り上げられたが親子の行方は杳として知れず、2カ月が過ぎようとしていた先月28日、市民からの情報提供によりイングランド南部のブライトンでコンスタンスとゴードンが発見されたという。赤ちゃんの姿がなかったため、警察は育児放棄の容疑で2人を逮捕した。
警察が2人を逮捕した現場を中心に捜索を行ったところ、森の中で生後2カ月の乳児の遺体が見つかったとBBCは伝えている。2人の容疑は重過失致死に変更され、今も拘留が続いている。赤ちゃんの遺体は死因を特定するために司法解剖される予定だ。
2人は主に日没後にタクシーで移動しながら、53日間逃亡を続けていたという。防犯カメラのある場所では顔を隠すなど、人目に付かないよう注意深く行動していたと警察は見ている。
逮捕前、コンスタンスの両親は警察への自首をすすめる声明を出していた。それによると、コンスタンスはこの8年間家族とは音信不通だったようだが、「できる限りのサポートをするから勇気を出して早く出頭して」と呼びかけていた。
名家の令嬢がなぜ犯罪者と恋に落ち、子どもの命を奪ったのか。この事件は貴族の転落物語として英国内で広く耳目を集めている。2人は英国時間3日にブライトンの治安判事裁判所に出廷する予定だ。