米コロラド州コロラドスプリングスで葬儀場を営んでいた夫婦が、少なくとも190体以上の遺体を不適切に扱ったとして8日に逮捕された。The New York Timesなどが報じている。
ジョン・ホールフォードとカリー・ホールフォードが経営していた「Return to Nature Funeral Home(自然に還る葬儀社)」は、化学薬品やコンクリート製の保管庫などを使わず、微生物によって分解される棺やカゴを用いる、いわゆる“グリーン葬”を提供していた。遺体をそのまま埋葬するオプションも用意されていたそうだ。
当局によると先月、ひどい悪臭の発生源を突き止めるため捜査員が葬儀社に入ると、建物内には100体を超える腐乱した遺体が積み重なる“恐ろしい光景“が広がっていたという。郡検視官のランディ・ケラーは「保管状態は不適切で、人の健康に有害な現場」と表現した。
Return to Nature Funeral Homeでは火葬も行っていたが、遺灰の管理も非常にずさんで、誰のものともわからぬ遺灰が適当に遺族へ配られていたようだ。
たとえば、クリスティーナ・ペイジさんは’19年、警察によって射殺された20歳の息子デイヴイッドさんの火葬をReturn to Nature Funeral Homeに依頼した。彼女は愛する息子の遺灰が入った赤い骨壺を腕に抱いて記者会見に臨み、コロラド州議会やワシントンD.C.の連邦議事堂へも訪れて警察の構造改革を訴え続けてきた。しかし、この遺灰はデイヴィッドさんのものではなかった可能性が高いとAP通信は伝えている。
「4年間、私はこの骨壺を息子だと思ってこの国中を旅してきました。それなのに、息子はあそこで4年以上も腐敗するままになっていた……これまで生きてきた中で、何よりも恐ろしいことです」とペイジさんはAP通信に語る。
惨状が最初に発見されて以降、遺体は8日までに190体が回収され、検視局に運ばれた。ホールフォード夫妻は逃亡先のオクラホマ州で拘束され、今も拘留されている。保釈金は200万ドル(約3億円)に設定されたという。