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韓国スター一の読書家として知られる人気デュオ東方神起のチャンミン(30)。彼が日本のファンに届けた一冊の本には、新進気鋭の作家による“対話法”が綴られている――。

 

「チャンミンのインスタには、100万人以上のフォロワーがいます。そこで彼が本を紹介すると、『読みたい!』というコメントが殺到するんです」(ソウル在住の日本人記者)

 

チャンミンが、自身のインスタで、エッセイ『言葉の品格』を紹介したのは、今年2月のこと。日本のファンからは、翻訳版を望む声が殺到していた。

 

そして12月20日、その翻訳版(米津篤八訳・光文社)が緊急出版される。前出の現地記者がこう続ける。

 

「発売決定を受けて、原書を出版した黄牛ブックス社は『チャンミンさんのおかげです。ありがとうございます』とSNSに投稿しました。ファンの間では、“彼が日本に届けてくれた”と歓喜が上がりました」

 

読書を愛するチャンミンが『言葉の品格』を手に取ったのは、著者のイ・ギジュさんが持つ経歴と、その功績に知的好奇心をくすぐられたからかもしれない。

 

「イ・ギジュさんは、名門の成均館大学を卒業後、ソウル経済新聞社に記者として8年間勤務し、作家になりました。じつは、まだ無名の時代に出版した前作『言語の温度』は、大手出版社からの刊行ではなかったにもかかわらず、韓国で“’17年最も売れた本”とされ、発行部数130万部を突破したベストセラーなんです」(現地紙文化部記者)

 

彼の心を打った、その内容とはいったいどんなものなのだろうか。

 

『言葉の品格』では、古今東西の賢者や政治家の名言、市井の人々の何げない会話を取り上げつつ、人と人とが心を通わせるために必要な、言葉に込められた「品格」=「相手を思いやる気持ち」を全24項目にわたって説いている。

 

【1】尊重……人生の知恵は「聞く」ことから始まる

 

オバマ前大統領が演説していたときのこと。「移民追放をやめろ!」と叫ぶ少年に対し、オバマ氏は彼の気持ちを尊重しつつ、「何を話したいのですか」と聞き返した。この出来事を例にとって、著者は自分のことについて「話す」よりも先に、相手の話を「聞く」ことの大切さを説いている。

 

《相手の主張に同意しないとしても、その人の話す権利を尊重し、耳を傾けてこそ、相手の心を開くカギを手に入れることができる》(以下《》内は翻訳版『言葉の品格』から引用)。

 

【2】簡潔……言葉の量にはこだわる必要はない

 

人の本心は《簡潔な表現ににじみ出る》と著者は綴る。誰かを説得したいと願うとき、長々と話せば話すほど、相手は退屈し、あいまいにしか受け取られない。

 

《簡潔な言葉遣いは、剣のように聞く者の急所を突く。言力が大きく、かつ繊細な言葉は、聴衆の感性に鋭く突き刺さる》

 

【3】騒音……人を傷つけるジョークは必要ない

 

場の空気を和ませようと放った軽口が、人間関係をさらに悪化させることがある。相手を気遣うことができないジョークは、かえって自分にとっても不利益をもたらしてしまうのだ。

 

《口先から流れ出す言葉に、相手への思いやりが欠けており、誰かに傷を負わせるなら、それは声ではなく粗雑な騒音に過ぎない》

 

【4】未来……過去に固執しては道は拓けない

 

アイルランド共和軍(IRA)によるテロでいとこを失った経験をもつエリザベス女王は、前IRA司令官と晩さん会をともにした際、彼を責めることなく、両国の和解を提起。女王には拍手が送られた。

 

未来を冷静に見通すためには、過去に固執しない姿勢が求められるという。

 

《時には過去の鎖に縛られているために未来に進めないでいるのではないかと、自分を振り返ってみる必要もある》

 

同書の序文には、《いまあなたの隣にいる大切な人と、もう少し近づいてもらえたらと願う》とある。

 

東方神起としてデビューして15年、数々の苦楽を共にした盟友・ユンホや家族、支え続けるファンなど、彼にとっては“大切な人”がたくさんいる。

 

この本を“教科書”にして、大切な人たちとさらに距離を縮めたい、そんな思いでチャンミンはこの本を読んでいるのではないだろうか。

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