広くがっしりとした肩を持ち、「肩ギャング」と呼ばれるヒョンビン(写真:アフロ) 画像を見る

「韓流エンタメの特徴の1つとも言えるのが、面白おかしい“推し”へのニックネームや、造語。例えば、社会現象ともなった『愛の不時着』でも、“顔天才”“母胎ソロ”など、秀逸な造語が話題となりました」

 

そう語るのは、韓流エンタメに精通している映画プロデューサーTさん。

 

近年、国を挙げて推進している韓国エンタメは成長が目覚ましく、カンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』、アルバムがアメリカのビルボードチャートで1位を記録するなど世界中で人気のK-popグループ「BTS(防弾少年団)」、前述の『愛の不時着』をきっかけに日本で起きている韓流ドラマブームなど、その躍進ぶりは枚挙にいとまがない。そんな昨今の韓流カルチャーだが、観る者の心を掴むエンタメの実力は、「ネーミングセンス」にも如実に反映されているとTさんは語る。

 

「『それ、褒めていますか?』というギリギリラインのニックネームは韓国独特のセンス。“推し”を応援したいという国民のエネルギー、ファンを大切にし、面白おかしくてもそれも愛だと受け入れるスターたちの懐の深さ。その相互関係が、さらにエンタメ界を盛り上げていると思います。」

 

それでは、さっそく秀逸なネーミングセンスによってつけられたキャッチコピーを見ていこう。

 

【1】肩ギャング

「その広い肩で、ギャングのように女心を捕えてしまう」という意味の愛称がつけられたのは、『愛の不時着』の大ヒットにより、第三次ブーム到来中のヒョンビン(38)。劇中でも「太平洋のような肩」と言われるほどの広くがっしりした肩は、女性のハートを鷲掴みにした。『愛の不時着』では、女性を守る役柄であることから、筋トレをし「ヒョンビン史上1番筋肉をつけた」とのことだが、その基礎は、選手として活躍し、6歳から16歳まで10年間続けていた水泳なのだとか。世界中の女性たちの恋愛細胞を呼び起こした“罪な肩”は、次回作の映画『交渉』で、さらに成長したとの噂も。

 

【2】強制記憶操作男

この奇天烈な愛称がつけられたのは、日本でもNijiUで注目されているJYPエンターテイメントからデビューした音楽グループ「GOT7」のサブボーカル・Jrことジニョン(26)。2012年、歌手デビューに先立ち『ドリームハイ2』にて俳優デビューした彼は、明るく自然、少年のような雰囲気で、学生時代に片想いをしていたかのような想いにさせることから「強制記憶男」と呼ばれるように。ファンからの投票で人気ランキングが決まる「アジア アーティスト アワード」では数多くの人気俳優を抑えて連日1位をキープするほど熱狂的な人気が。

 

【3】キス職人

とにかくキスシーンが多い&長い韓国ドラマ。そんなキスシーンが「職人のようにうまい!」 「キス職人」と名誉あるニックネームがつけられたのが、映画『82年生まれ、キム・ジヨン』に出演し、話題のコン・ユ(41)。180cmを超える完璧なスタイルで、女優との黄金比の身長差を生み、絵画のような横顔で美しくドラマティックなキスシーンを作り出す彼。キスシーンのバリエも豊富で『コーヒープリンス1号店』の「迫力キス」、『あなたの初恋探します』の「ベッドキス」「空港キス」など、女優を引き立てながら物語の世界観を一気に盛り上げるキスは、作品が放送されるたびに話題に。

 

【4】結膜セレブ

現在入隊中の音楽グループ「EXO」のメインボーカル、ディオことド・ギョンス(27)。メンバーの中で誰よりも早く演技の勉強を始め、俳優としても活躍する彼は、目が大きいけれど黒目が小さく白目の部分が多いことから「結膜セレブ(白目富豪)」とファンが命名。この愛すべきニックネームは本人も認めているところで、「メンバーの区別がしにくい時は、目は大きいけれど白い部分が大きかったらディオだと思えばいいと思う」と発言。2021年1月に除隊すると言われており、怪我なく元気に帰ってくることを切望されている。

 

肩ギャング、結膜セレブ……いくつわかる? 韓国「秀逸ネーミング」5
画像を見る 韓国のネット上で話題をさらった「ファンクルセク長官」小泉進次郎議員

 

【5】ファンクルセク長官

「ファン+クール+セクシー」が由来の、一見ファンシーなニックネームがつけられたのは、日本の小泉進次郎議員。2019年、環境大臣就任後に国連で「気候変動のような大きな問題への取り組みは、ファンで(楽しく)、クールで、そしてセクシーでもあるべきだ」と、ものすごいドヤ顔で、ものすごくもっともらしく、ものすごく中身のないスピーチをしたことが韓国で話題に。この突拍子もない発言がミーム(インターネットで流行っているコンテンツ素材を意味する)になり、毎日のようにネットを騒がせ、語録が作られ、言い方まで真似され、ついには「ファンクルセク」という不名誉なニックネームがついた。

 

振り返ってみると、第1次韓流ブームで日本でも大人気だったペ・ヨンジュンは「微笑みの貴公子」、イ・ビョンホンは「キラースマイル」、チェ・ジウ「涙の女王」など、当時から秀逸なニックネームは存在し、ファンに親近感を抱かせる役目を担ってきた。現在は、若手俳優から演技派俳優まで、ニックネームに少し面白さを入れるのがトレンド。その抜群のセンスで、これからも数々の面白ニックネーム、造語が生まれることを期待したい。

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