貧困、非婚、非SEX…現実問題と同調圧力に苦しむ韓国女性
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■独身・子なしで生きてはダメ?

 

――ワーキングプアのような女性も少なくないなか、結婚や出産についてはどのような意識を持っている人が多いのでしょうか?

 

「『非恋愛・非SEX・非婚・非出産』をあらわす『4B運動』(“非”は韓国語で“ビ”とも読まれる)や、就職や結婚、出産などのあらゆるライフイベントを手放さねばならない世代を指す『N放世代』(Nは変数の意)といった言葉がよく使われるほど、恋愛・結婚・出産などを望まない、望めない人が多いです。

 

そうした言葉を掲げる本人たちはあくまで『自分の意思・価値観として』そうした思想を持ち、実践していると言います。ただやはり社会にはびこる多重貧困や、女性に対する抑圧などの影響が一切ないとは言えないだろうと感じていますね」

 

――日本でも「草食系」「独身貴族」と言った言葉がありますが、韓国の方が重たいですね。

 

「日本以上に少子高齢化が深刻なんです。韓国の出生率は2018年から1.0人を切っており、19年には0.92人と過去最悪を更新。この数字は少子化が叫ばれる先進国のなかでもダントツに低く、世界ワースト。

 

一方で日本以上に独身者に厳しい目が向けられがちだという社会的背景もあり、若者たちは個人的な価値観や置かれている現状と、それとは裏腹な世間からの圧力の間で苦しんでいます。そのため、非婚主義を掲げる女性たちが連帯し、支え合うことを目的とした団体も多数あるほどです」

 

BLACKPINKなどをはじめとした、世界を股にかけて活躍する華やかな女性たちのイメージとは裏腹に、女性に対する抑圧は日本以上に厳しいようです。

 

『少女時代』のサニーが「結婚を必ずしなければならないの? 恋愛も、したければするものだし。なぜ、あえてしなければならないのか分からない」と発言し、韓国国内の女性たちから大きく支持されたと本書中でも紹介されていますが、日本のアイドルが同様の発言をしたところで同じように支持を得られるものでしょうか。女性たちをエンパワメントするフェミニズム文学が韓国で流行するのには理由があるようです。

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