新興宗教「新天地」の若者たち 画像を見る

現代韓国の若者と聞いて何を思い浮かべますか? 日本では外交上の軋轢ばかり注目されますが、流行語大賞にも選ばれた『愛の不時着』など韓流ドラマで活躍する俳優たちや、米ビルボードで首位を獲得したBTSなど、華やかな世界での成功者が数多くいる印象も強いのではないでしょうか。

 

しかし、ごく一部のそうした上澄み以外の、市井の若者たちの実態は「非常にシビア」。今年9月に『韓国の若者』(中公新書)を上梓した安宿緑氏は、そう喝破します。

 

安宿緑氏に、若者たちが抱える「生きづらさ」について、日韓の比較を交えて教えてもらいました。

 

■親子関係、うつ病…韓国の抱える闇

 

――学歴至上主義・エリート主義社会で、若者は親たちからの強い要請のもと、苦学に励むと聞きしました。日本だと「毒親」に抗ってグレたりすることがありますが、韓国でもそうしたことは起きているのでしょうか。

 

「グレたりドロップアウトしたり……というのはありますが、全体的に見ると一部だと思います。ただ、実は『親殺し』事件は増えています。尊属殺人は「廃倫」と呼ばれ、人として最低の烙印を押されますが、2018年の統計によると一ヶ月に4~5件は起きている。両親と生活する年月が欧米諸国に比べ相対的に長いことが原因の一つという分析もあり、背景としては日本と似たものがあります。また、尊属殺人犯の精神疾患罹患率は40%であったという調べも出ています。

 

それとの因果関係は断定できませんが、受験勉強や就職活動でボロボロになった若者たちは、不良などになるのではなく、早いうちからうつ病などを患ってしまう場合が多いです。メンタルヘルス系の罹患率が高いのも、韓国の抱える闇の一つです」

 

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