■「自分たちがどんなグループがわからなくなった…」
さらに、BTSのメンバーを追い詰め、その消耗を加速させたのは、コロナ禍のこの2年。
「本来、’20年2月にリリースした『ON』をBTSの“第1章”の区切りと考えていたそうです。締めくくりとして、大規模なワールドツアーも予定していました。
ところがコロナ禍に直面し、その計画が頓挫。ワールドツアーの代わりにできる“話題性があることを”と考えてリリースしたのが、世界的に大ヒットした『Dynamite』や『Butter』などの楽曲だったといいます。全英詞のこれらにより、もともと世界中にファンがいたBTSが、より大衆的に名を知らしめることになりました」(前出のライター)
大成功の裏で、プロデュース業も行うなど、音楽面でグループをリードするRMやSUGAは、以前とはズレたものを感じ始めていた。
動画中で、SUGAは「今は歌詞の言葉が本当に出ない」と話し、RMは『Butter』以降、
「自分たちがどんなグループなのかわからなくなった」と話している。
「彼らは、自分たちが伝えたいメッセージを自分たちの言葉、音楽で伝えるということを意識的にやってきたグループ。多忙さのあまり、インプットや自分との対話もできずに、歌詞が書けなくなったり方向性を見失ったりしたのでしょう」(韓国の音楽関係者)
手に入れた影響力ですら、彼らをがんじがらめにしていたのではないか、とは前出の児玉さん。
「言動一つで、大騒ぎになる。その精神的負担もあったでしょう」
たとえば兵役問題も。‘20年12月に法改正がなされ、BTSの面々は兵役を2年延期することが可能になったが、さらに――。
「BTSの兵役を免除できないのかという意見も取り沙汰されていました。ただ、兵役は韓国の若者にとって切実な問題で、世論は真っ二つ。この問題も、メンバーにとって、かなりの精神的負担だったと思います」(児玉さん)
結局、兵役免除については決まらずにここまで来た。
「メンバーのジンは12月に30歳の誕生日を迎えますが、年内に入隊をしなければなりません。BTSは全員一斉入隊するのではないかと推測する人もいましたが、ソロ活動についての発表は、入隊時期をバラバラにずらすことを決めたからだとみることもできます」(前出・韓国の音楽関係者)
ともに過ごす時間が減る今後を見越してか、メンバーたちは最近、ある“約束”をしたようだ。
「メンバーの人数である数字の“7”のタトゥーを全員入れることにしたのです。RMは足首に、ジミンは左手人さし指に、J-HOPEはアキレス腱に、すでに入っています」(前出のライター)
お互いを“家族”と呼ぶメンバーだが、RMは「BTSを長く続けるためには、自分一人に戻る時間が必要」と話す。数年後には、さらにパワーアップしたBTSの集合体が見られると信じたい。