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天皇皇后両陛下がご公務などで地方に行かれる際、昼食のメニューを決めるとき、「陛下はカレーライスがお好きでいらっしゃいます」と宮内庁からアドバイスがあるほど天皇陛下はカレーがお好きだ。実際に戦後間もない時期から、東宮御所にはカレー粉が献上されていたという。皇室ジャーナリストの松崎敏弥さんは、次のように語る。

 

「ご結婚の翌年に両陛下はインドを訪問されていますが、このとき、美智子さまは本場のスパイスをお土産にされています。かつては、インド料理専門のシェフを東宮御所に招いてパーティを開かれたこともあったと聞いています。そういえば、’64年1月の冬季国体のとき、陛下が召し上がった富士屋ホテルのカレーが話題になり、行列のできる“名物メニュー”になったという逸話もありますね」

 

’09年5月に埼玉県の工場を視察されたときも、陛下は昼食にカレーライスを希望されている。ご案内役を担当した池上金型工業社長の池上正信さんが当時を振り返る。

 

「陛下の昼食のご提案をしたとき、ホテルの配達や仕出し弁当だけでは選択肢が少ないのではと思い、そこに“社員食堂のカレー”を加えたのです。そうしたら、ご訪問の10日ほど前に『カレーを』と宮内庁から連絡があり、スタッフともども大慌てです。翌日から試食を繰り返しました(笑)。でも、陛下から『本日はおいしゅうございました』とのお声がけをいただいたときは本当に幸せでした。50年前から社員に愛されている、自慢のカレーでしたから」

 

カレーがよく選ばれる理由は、ほかにもある。

 

「東日本大震災直後の’11年4月、お見舞いのためヘリで宮城県に行かれていますが、そのとき陛下は『昼食は基地のカレーで』とおっしゃったそうです。被災地に負担をかけないようにとのお心遣いですね」(皇室ジャーナリスト)

 

さかのぼって’91年の長崎県・普賢岳噴火のときのお見舞いでも、陛下は昼食にカレーライスを召し上がっている。

 

「カレーなら食材が入手しやすく大人数の調理も簡単。作り置きもできるので、時間を合わせる必要がありません。カレーを選ばれる理由はご訪問先へのご配慮でもあるのです。“同じ釜の飯”で、思いを共有したいと思われたのかもしれませんね」(同前)

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