宮内庁広報室トップに警察庁の“スパイハンター”が就任…専門家が懸念する「情報統制」
画像を見る 宮内庁広報室長に就任した“スパイハンター”の藤原麻衣子さん(写真:共同通信)

 

■新設ポストにも波紋が広がり……

 

「就任に際して藤原さんは、『身が引き締まる思い』と緊張した様子で宮内記者会に挨拶していたそうです。秋篠宮ご夫妻はじめ、皇族方も期待するポストですから無理もありません。

 

ただ、藤原さんは“情報統制”といったセキュリティやリスクマネジメントの専門家であって、皇室の方々に対して国民が抱く親近感を高める広報の専門家ではないことに、早くも心配する声が聞こえてくるのです」(前出・宮内庁関係者)

 

戦後、「開かれた皇室」を掲げて国民との距離を近づけようと、皇室はさまざまな努力を重ねてきた。だが、新設される広報室の体制が、こうした流れとは逆行する動きに見えるという声も多いのだ。

 

「広報室の体制も発表されたのですが、特に『渉外専門官』というポストが設けられることに波紋が広がっています。その仕事は“皇室の名誉を損なう不適切な出版物などへの対応を想定する”とされているため、“今後は批判を許さないということなのか”と疑問を持たざるをえません」(前出・皇室担当記者)

 

本来、公安警察は全国の情報網を用いて、定期的に政治団体や外国人などの動向を把握し、不測の事態に対応する組織とされる。皇室制度の歴史に詳しい静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんはこう警鐘を鳴らす。

 

「情報収集や“監視”に力を入れている部署を率いた警察官僚が広報室のトップになることで、皇室の“正しい情報発信”というより、国民の皇室に対する意識の把握や“メディアに睨みを利かせる”部署であるという印象が強まってしまう懸念があります。

 

広報室が推進するというSNSの活用については、皇室と国民の間で意見交換を可能にする側面があり、将来の皇室にとって大きなメリットとなるでしょう。

 

しかし、広報室が警察的な仕事をする組織となってしまえば、皇室に対する国民の敬愛の念は萎縮し、『開かれた皇室』という理想は崩れ、戦前のような『閉ざされた皇室』となりかねません。戦後の皇室が長い年月をかけて育ててきた国民との信頼関係を崩しかねない危うさを、この人事ははらんでいると思います」

 

国民が求めるような情報発信よりも、“ネガティブな意見や声”をおさえることを重視するのであれば、皇室が積み重ねてきた国民からの信頼を無に帰してしまいかねない――。

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