春風が吹くなか、馬の放牧地を歩かれた天皇ご一家。報道陣の取材に応じるため、マスクをはずし、笑顔を見せられたが、愛子さまはときおり憂いをおびた表情を見せられていた。
天皇皇后両陛下と愛子さまは、4月5日から10日まで栃木県の御料牧場に滞在された。
元宮内庁職員で皇室解説者の山下晋司さんによれば、
「御料牧場では、晩餐会などの宮中行事で使用したり、皇室の方々がふだん召し上がる肉や野菜、卵や牛乳などを生産しています。また外国大使が信任状捧呈式の際に利用する馬車を引く馬も育てています」
天皇ご一家が地方で静養されたのは、’19年8月の那須御用邸付属邸でのご静養以来、3年7カ月ぶりのこと。
皇室担当記者はこう語る。
「天皇ご一家が地方にお出ましになれば大勢の奉迎者も集まります。新型コロナの感染拡大を防ぐために、両陛下はご静養を見送られてきました。恒例だった3月のスキー旅行は今年も中止され、今夏までご静養のタイミングはないのではないかと言われていたのです。
しかし5月に春の園遊会、6月上旬に岩手県で全国植樹祭、さらに6月下旬にインドネシアご訪問と、重要な行事が続きます。その前に、雅子さまのためにも休養をとっておくべきという天皇陛下のお考えがあったのだと思います。
また今回は牧場までお車で移動されました。駅頭でのお手振りがない分、感染リスクを低減できるというご判断でしょう」
だが皇室ジャーナリストによれば、これまでのご方針を急に転換し、御料牧場でのご滞在を選ばれた理由がほかにもあるのだという。
「実は昨年12月、ご一家の愛馬・豊歓(とよよし)号が御料牧場で亡くなっていたのです。“墓参”により、その面影をしのびたいというお気持ちもあったと伺っています……」
’97年4月に御料牧場で生まれた牡馬・豊歓号は人間でいえば80年の長寿を全うしたという。
前出の皇室担当記者は、
「天皇陛下と雅子さまはご成婚の翌年、オマーンなど中東の4カ国を歴訪されました。お二人そろっての海外ご訪問は初めてで、新婚旅行ともいうべきものでした。各国で歓待を受けられましたが、特にオマーンでは、カブース前国王からサプライズプレゼントがあったのです」