2019年8月、フローレンス・ナイチンゲール記章を雅子さまが受章者の胸にお付けになった /(C)JMPA 画像を見る

まるで夏のような日差しが降り注いでいた4月21日、天皇陛下雅子さまは都内で開かれた「第31回日本医学会総会」の開会式に出席された。

 

天皇陛下と雅子さまは、会場に到着された際に着用されていたマスクを開会式では外されて臨まれた。陛下のお側でほほ笑まれながらも、雅子さまのまなざしには、決意が込められていてーー。

 

「4月になって、’21年度に病院で働き始めた新卒の看護師が年度内に離職した割合が10.3%に上ったという全国調査を、日本看護協会が発表したのです。コロナ禍によって、医療現場で働く看護師の労働環境が極端に悪化したことが大きな要因とされています」(皇室担当記者)

 

雅子さまは皇后として、日本赤十字社(日赤)の名誉総裁を務められている。日赤は全国の看護師を支援するという役割も持っており、かねて雅子さまは看護師たちの窮状を懸念し続けられてきた。宮内庁関係者は、

 

「コロナ禍で、“母親が看護師というだけで子供がいじめられた”などという報道が相次いでいました。雅子さまもそうした話に心を痛められていたそうです。

 

当初は日本医学会総会から“陛下お一人のご出席”と広報されていましたが、その後、雅子さまもいらっしゃることになったのです。陛下は開会式のおことばのなかで、コロナ禍での医療従事者の尽力をねぎらわれましたが、雅子さまも同じお気持ちでいらしたと思います」

 

1割もの職員が退職するという“緊急事態”について、医療問題に詳しいジャーナリストの村上和巳さんはこう話す。

 

「’21年は、重症化率や致死率が高かったデルタ株が猛威を振るい、ワクチン接種も進行中という時期でした。コロナ患者を受け入れていた病院の医師や看護師は、勤務時間外も厳しい移動制限などが課されたため、働き続けられなかった人も多かったと聞きます。また、十分な実習すらできないまま、コロナ医療の最前線で働く新人看護師は少なくありませんでした」

 

呼吸器科で働く30代の女性看護師は、現状のままではこうした環境が改善されないと嘆く。

 

「法律で新型コロナウイルス感染症は5月から季節性インフルエンザと同じ扱いになりますが、すぐにどこの病院でも診られるようになるわけではありません。しかも、患者さんが増えて忙しくなっても給料が増えるわけでもなく、負担の大きさに見合った待遇とは言えないのです。このままでは看護師の離職を食い止めるのは難しいと思います……」

 

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