全国的に小春日和となった12月9日。夕方になってもやや暖かい空気に包まれたこの日、天皇陛下と雅子さまが車の窓から柔和な笑顔をお見せになって、手を振られていた。
60歳のお誕生日という記念すべき日。沿道に居合わせた人々から上がる祝賀の声に耳を傾けられながら、上皇ご夫妻へのご挨拶のために仙洞御所を訪問された。
例年、お誕生日にあたって“ご感想”が公表される。雅子さまはこの文書の書き出しに、
《ちょうど10年前の今日、50歳の誕生日を迎えるに当たり、それまで半世紀を生きてきたことを思い、「不思議な感慨に包まれます」と感想を綴りましてから、いつの間にか10年の月日が経ちました》
と記されている。人生の節目となる日に雅子さまが公表された内容から、精神科医の香山リカさんは次のような印象を持ったという。
「50歳、60歳という節目を大事にされ、周囲の人々への感謝のお気持ちも込められています。そして、ご公務への前向きな姿勢、さまざまな世界情勢にもご関心が向いています。また皇后としてのお務めも、自然なこととして臨めるようになられていると思いました。
こうした点から、雅子さまが自信を深められていると感じる内容ですし、この一年は新たなスタートのきっかけになるかもしれません」
前向きなお気持ちを表明するとともに、お務めと向き合う真摯さが貫かれているご感想ーー。
皇室の方々のお誕生日に際しては、天皇陛下や皇嗣である秋篠宮さまの場合は当日までに記者会見が開かれるが、そのほかの方々については、ご感想やご近況が文書にまとめられてメディア各社に配布されている。
「以前から雅子さまは、率直なお気持ちを丁寧かつ正確な表現でまとめようとされるので、どうしてもお時間がかかってしまうと聞いています。例年、何度も推敲を重ねて仕上げられているのです。
また雅子さまのご体調について、医師団による最新の見解も明らかにされるので、メディア各社もいち早く情報を入手したいがために、首を長くして記者たちが待っているのが恒例となっています」(宮内庁関係者)
雅子さまは、今年もギリギリまで悩まれ、丹念に文面を練られていらっしゃったようだ。