■新婚時代に宿泊された老舗旅館も被害を
雅子さまもご成婚翌年の1994年に、天皇陛下とごいっしょに石川県を訪れられている。
「新婚の皇太子ご夫妻をひと目見ようと10万人を超える県民が沿道を埋め尽くし、能登の地が歓迎一色に包まれたのです。羽咋市の千里浜海岸をお二人でお歩きになったときには、美しい海岸線に沿って約300メートルの人垣ができるほどのフィーバーぶりでした。
4年後の1998年に再訪された際には、白山市にある『石川県ふれあい昆虫館』を視察されています。チョウがそれぞれの頭に止まってまるで髪飾りのようになり、二人で笑い合われるシーンもあったのです。
しかし1994年に宿泊された七尾市の老舗旅館『加賀屋』も、大きな被害を受けたようで、1月1日に一時休業を発表しています。
ご夫婦の絆を深めた思い出の地の惨状に、天皇陛下と雅子さまのご心痛はいかばかりでしょうか……」(前出・皇室担当記者)
愛子さまの22歳のお誕生日に際して宮内庁から報道各社に配布された文書には、愛子さまが黙祷されている日についても記載されていた。
「1月17日の阪神・淡路大震災、3月11日の東日本大震災、6月23日の沖縄慰霊の日、8月の広島・長崎原爆の日、終戦記念日の6日間は黙祷されているそうです。
地震が頻発する国・日本を導かなければという天皇陛下と雅子さまのお覚悟を共有されているからでしょう」(前出・皇室担当記者)
確かに12月9日に発表された雅子さまの60歳のお誕生日に際してのご感想には、次のような一文が。
《日本国内にあっては、南海トラフ地震や首都直下地震などの発生が今後心配される中、関東大震災からちょうど100年に当たった今年、防災や減災についての様々な啓発活動が行われていたことを心強く感じました》
雅子さまのお覚悟について、静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんはこう語る。
「もちろん災害がないことがいちばんですが、ときには震災によって、甚大な人的被害や物的被害が生じることは避けられないことを両陛下は常にお心にとめられてきたことと思います。今回の震災被害も我がことのように受け止めながら、すでに被災者を励ますためにどんなメッセージを送るべきか、現地慰問をいつすべきか、などを検討されているのではないでしょうか」
1月3日正午時点で把握されている石川県内の避難者は3万3千人以上に上るという。
「まだ調査中という地域もあり、避難者はさらに増えるかもしれません。家屋の倒壊や焼失などにより、避難所や仮設住宅での長期的な生活を余儀なくされる人たちが大勢出てくる可能性があります。
救助活動やインフラの復旧が落ち着いた時点で、天皇陛下と雅子さまも、被災者に寄り添われるために現地に足を運ばれるはずです」(前出・皇室担当記者)
両陛下には、突然の災害に襲われ苦しむ人たちにとっての希望の灯であり続けていただきたい。