「一つひとつの作品にメッセージが込められているのですね」
「何でできているのですか」
天皇陛下と雅子さまが、帽子をかぶった人物をかたどったブロンズ像の前で質問されている。さらには愛子さまが、
「面白いですね」
と感心したりされている。天皇ご一家は9月9日、東京ステーションギャラリーを訪れ、開催中の「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」展を鑑賞された。フォロンは20世紀後半のベルギーを代表する芸術家で、ユーモアの中に環境破壊や人権問題などの社会風刺を込めた作品で知られている。皇室担当記者によれば、めずらしいご鑑賞だったという。
「国内外の古典的な絵画鑑賞はたびたびありましたが、現代アートの作品をご覧になることは、さほど多くはなかったのです。
フォロンが作品に込める環境や人権問題、反戦といったメッセージには、両陛下も共感する部分が大いにあるように感じましたが、きっかけは駐日ベルギー大使のお誘いだったと聞きます。皇室と同国の王室は特別深い関わりがあり、両陛下と国王夫妻に長年の交友があることも大きいでしょう。
当日は愛子さまもお仕事をお早めに切り上げて合流されています。初めてご覧になるアーティストの展覧会ですし、やはり“陛下がご家族をお誘いしたようだ”という声も聞こえてきます」
陛下が熱心に雅子さまを誘われたのは、雅子さまのご体調の“変調”と関係していると、天皇ご一家の知人は明かす。
「今年6月に、生前のエリザベス女王から国賓として招待されていた英国ご訪問を、成功裏に遂げられています。しかし雅子さまはご帰国後、お眠りになれない夜がたびたびあったと伺いました。そうしたこともあって、ご体調が本調子ではない日も増えていたと……」
英国での“大任”を果たし、燃え尽きたかのように不眠に悩まれていた雅子さま。陛下はお心を癒されるための“デート”を計画し、お誘いされていたのだ。
「9月3日、天皇ご一家は『ストラディヴァリウス・コンサート2024』を鑑賞されています。もともと陛下お一人での鑑賞と発表がありましたが、直前で雅子さまと愛子さまも同行されることが決まったという経緯がありました。
雅子さまのご同行は、ご体調面のコンディションから直前になって判断されることが多いのですが、やはりいつも陛下のお誘いが決め手となっているのでしょう。9日のフォロン展もそうした流れであったようですが、ご一家で感想を述べ合いながら楽しそうに鑑賞されていて、雅子さまも前月より復調されていたようにお見受けしました」(宮内庁関係者)
精神科医の香山リカさんは、アートを通じたコミュニケーションのメリットについて、次のように教えてくれた。
「とくに現代アートは、いろいろな解釈が可能な作品が多く、“私はこう見た”“私はこう感じた”といった意見を交わし合うことができます。こうした芸術や動物などを介したコミュニケーションはストレスが少ないといわれています。展覧会では雅子さまも心が和み、ご体調にとってもプラスの影響があったと思います」
9月12日から、愛子さまもご一緒に那須御用邸での静養に入られた雅子さま。ご到着の翌日、13日の夕方にも、那須町内の2つの美術館に足を運ばれていた。
「天皇ご一家は昨年4月にオープンした田川啓二美術館に1時間ほど滞在された後に、ご静養時にほぼ毎回訪問されるステンドグラス美術館に足を運ばれました。恒例となっている地元合唱団との交流は盛り上がったようで、長い時間美しい旋律と歌声に触れ、雅子さまも癒されたことでしょう」(前出・宮内庁関係者)
陛下と愛子さまと作り上げる芸術よりも美しい家族愛は、これからも雅子さまを癒し続ける。
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