《混迷の三笠宮家》信子さま ヒゲの殿下との別居12年前に明かされていた「1日6食のがん闘病サポート」
画像を見る 旧宮内庁長官公邸で生活されている信子さま /(C)JMPA

 

■青山通りにあるスーパーマーケットや、以前は築地の魚河岸にも足を運ばれて…

 

御所の庭には家庭菜園がある。本来は夏の食べ物だったキュウリやトマトが、ビニールハウスのおかげで冬にだって食べることができるようになった。それが当たり前の生活になってしまったことに気づかれた信子さまがお作りになったものだ。

 

昨日も菜園の草むしりをなさったのだと、信子さまは楽しそうだった。でも、それは信子さまのお楽しみばかりでなく、ふたりのお子さまに対する教育でもある。

 

「うちの子どもも、苺やトマトがいつでもいただけると思っております。トゲトゲした曲がったキュウリや、緑のトマトがあることを知ってくれたり、実をならせるまでには消毒したり草むしりしたり、作る過程があるということをわかってくれればいいと思いまして。私が草むしりをしていますと、蚊に刺されるのが嫌なのに、自分たちもしなければと思うのでしょう、一緒に手伝ってくれます」

 

信子さまは外で買い物をなさることもある。青山通りにあるスーバーマーケットや、以前は築地の魚河岸にも足を運ばれていた。

 

「台所に立ってまず考えるのは、どういうふうに料理していけば早くおいしく、最後までムダなくいただけるかということです。お魚を1 尾いただいたときなど嬉しくて、わくわくいたします。鯛が1 尾あれば、腹の脂ののった部分や背の部分をお刺身にして、頭やあらはお煮つけにいたしましたり、煮こごりに。尻尾のつけ根のあたりは、パサパサしているので、ひと手間かけてそぼろにしておきます。朝がゆと一緒にいただいたり、お弁当に入れたり、立派な一品になります。

 

ときどき中落ちにわざと身を残すように下ろして、あら塩をふり塩焼きにして、ちょっとお行儀は悪いのですが、両手で持っていただくのも、とてもおいしいものです。

 

宮家に上がってほんとうに嬉しかったことのひとつに、清掃局の収集車の方に、『大人数なのに、生ゴミが少ないですね』と、ほめてもらったことがあります。いただける部分を捨ててしまったり、残飯を出したりするのは恥ずかしいことだと、里におりますとき料理人によく言われておりましたから」

 

そうおっしゃってから信子さまは、クスッとお笑いになってつけ加えられた。

 

「ケチなんでしょうね」

 

平成2年の暮れのことだった。旭川でのお嬢さま方のスキー合宿を終え、ご家族で食卓を囲んでおられた殿下が、突然、

 

「飲み込んだとき、なんかひっかかるなぁ」

 

胃の上のあたりを押えながらおっしゃった。

 

瞬間、信子さまは不吉な予感にとらわれた。年が明け、殿下は病院での検査を受けられた。殿下のお帰りを待っておられた信子さまの元に電話が入った。殿下からだった。

 

「俺だけど、食道ガンだそうだ」

「えっ、冗談はおやめになって!」

 

ご結婚まもなく、信子さまはお父さまを食道ガンで亡くされていらっしゃるだけに、そのときのショックはとても言葉では言いつくせなかった。

 

去年1 月、8 時間20分に及ぶ大手術の結果、殿下はご健康を回復されたが、さらにこの6月、再度8時間30分にわたる手術をお受けになったのだった。

 

最初の術後、闘病生活に入られた殿下を支えたひとつに、信子さまが腕をふるわれた料理があった。術後10日めからは流動食を召し上がれるようになった殿下に、25日めから本格的な「6回食」が始まった。

 

1日6回、8時、10時、12時、3時、6時、8時に食事を召し上がるというものだった。病院で出されるメニューをごらんになりながら、信子さま退院後、殿下が宮邸で召し上がる「6回食」のメニュー作りに取りかかられた。

 

栄養士や執刀医に1日のカロリーや注意したほうがいい食品などをお聞きになり、信子さまは何冊もの術後の食事に関する本も読まれた。

 

殿下のお好きなもの、喉の通りのよいもの、病院で召し上がれなかったものをリストアップし、カロリー計算、植物性・動物性蛋白質、ビタミンの配分などにお気を配られている信子さまを見て、殿下はやさしくお声をかけられた。

 

「ノンチ、あんまり無理するなよ。毎日6回メニューを考えていたら息切れするぜ。俺は山屋(注/登山家のこと)だから食事など気にしない。病院形式でいいよ、先が長いんだから」

 

「でも、1週間やってみるわ。もし無理だったらお言葉に甘えるから」

 

3月3日の雛祭りの日に退院なされた殿下に、信子さまは6回食を実行なされた。1週間分のメニューを表にして厨房に張り、ひとつの材料でまとめて3品から4品。たとえばイワシを使ってフライを作り、煮つけを作り、たたいてサツマ掲げにしたり、残ったすり身はお味噌汁のなかに入れるお団子にしておくといったように工夫もなされた。

 

「でも、ぜんぶ宮さまが召し上がってくださったからそれがとても励みになりました。やはり下がってくるお膳は気になりますものね。盛り付けも多すぎるといけないとか、子どもたちがご一緒しないときは小さな器にいろいろ種類を多くしたりと。でも宮さまが“うまい”とおっしゃってくださるひと言がいちばん嬉しゅうございました」

 

とはいうものの、朝の8時に召し上がってお膳を下げると、もう10時のお食事に取りかからなくてはならない。信子さまは一日中厨房に立ちっばなしの日も何度かあった。

 

「たいしたことはありませんでした、と言えば嘘になりますけど、病院の6回食のように朝出たものの半分が10時にまた出てくるというのは、もし自分が退院して家で同じようなパターンだったら、とても耐えられないと思いましたので……」

 

応接室のなかには、昭和天皇のお写真が飾られ、ピアノの上に美しい鉢植えの胡蝶蘭が静かに咲いていた。

 

次ページ >「軽井沢に出かけるときも、必ずヌカ床は持ってまいります」

出典元:

WEB女性自身

【関連画像】

関連カテゴリー: