昼夜を問わず赤く燃え上がる炎が、山々に広がり、やがて火の手は家屋へと……。2月26日に発生した岩手県大船渡市の山林火災は、面積にして2900ヘクタール、同市の面積の9パーセントを焼失させ、1名が亡くなった。
3月5日から降り始めた雨が火の勢いを弱めたものの、9日になってようやく大船渡市は「鎮圧」を宣言。一時は最大で約4600人を対象に避難指示が出されていたが、10日には残っていた2424人、979世帯の避難指示が解除された。
2011年3月11日。東日本大震災で発生した未曽有の大津波は大船渡市をのみ込み、関連死を含めて400人以上が犠牲となり、4000棟近い家屋を破壊した。復興の道を歩んできた人々に再び降りかかった災害に、天皇陛下と雅子さまは心を痛められていたのだ。
「6日、両陛下は側近を通じて、岩手県の達増拓也知事にお見舞いの気持ちを伝えられました。被災者を心から案じられているとうかがっています。特に、東日本大震災で避難生活を経験した人々が、14年前の恐怖を思い起こして不安な思いを募らせているのではと、大変ご心痛の様子であったと……」(宮内庁関係者)
陛下と雅子さまが“二重被災”した人々の苦難に心を寄せられるのは、2011年8月に大船渡市を訪問された際の記憶をはっきりと思い起こされているからなのだろう。
この当時、雅子さまはご体調が優れない時期ではあったものの、懸命に被災者を励まそうと、
「お体に気をつけて」
「頑張ってくださいね」
と、優しくいたわるように手を取り、言葉をかけられていた。
「津波で家を流された被災者が暮らす仮設住宅を訪問され、雅子さまがお年寄りの話を聞きながら頷かれ、目に涙を浮かべていました。日帰りのハードスケジュールでしたが、一人ひとりの言葉に耳を傾けられていたお姿が強く印象に残っています」(皇室担当記者)
そして令和となった2023年、全国植樹祭に出席されるため岩手県を訪問された両陛下は、大船渡市にも足を運び、震災後新たに整備された商店街を歩きながら、被災者にお声がけされている。