■女性天皇・女系天皇を否定できなくなる
具体的に、女性皇族のお立場にどのような影響がもたらされるのか。神道学者で皇室研究家の高森明勅さんはこう話す。
「独立の生計を営む皇族として、彬子女王殿下が宮家の当主となられることを皇室経済会議が認定したのは、女性皇族の地位が向上する端緒となりうると思います。
未婚の女性皇族を宮家の当主と認めた以上、結婚すると皇籍離脱するルールは見直す方向に進むはずだからです。そうすると、愛子内親王殿下や佳子内親王殿下が、ご結婚後も皇室に残っていただけます。
しかし、彬子殿下が当主として受け取られる皇族費の金額で注目されたように、内親王や女王が当主となっても、親王や王が当主となった場合の半額しか受け取れません。これは女性皇族が早く結婚して皇籍離脱することが前提となっているからです。現在の皇室において、女性皇族が幅広い公務を担っていただくことが考慮されていないのです」
皇室の大半が女性となったにもかかわらず、女性皇族の恵まれているとは言いがたい現状……。そして、皇室典範が定める皇位継承は男系男子に限られている。皇室の存続は、悠仁さまのご双肩にかかっており、安定的な皇統の維持に関する国会の議論は着地する気配を見せていない。
近現代の皇室に詳しい静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんによれば、彬子さまが当主を継承したことは、こうした現状すら変えうる出来事だとし、こう続ける。
「皇族妃が、夫の死去後に宮家を継承する事例はあっても、信子さまのように新たな宮家を創設されたのは、明治時代に旧皇室典範が創設されてから初めてです。さらに、百合子さまの孫娘にあたる彬子さまが宮家を継がれたことは、女性が世襲する“実質的な女性宮家”の前例ができたともいえるのです。
女性が当主を世襲できるなら、女性天皇・女系天皇を否定する理由はありません。“天皇家と宮家は異なる”という論理で説得されるほど、国民は寛容ではないでしょう。信子さま、彬子さまがそれぞれ当主となった今回の実例を残しながら、これからも国会の議論が女性天皇・女系天皇を否定する流れとなってしまうのなら、国民の大多数は納得できないと思います」
彬子さまの当主継承によって、“女性天皇・女系天皇につながる”と、保守派の政治家たちが阻んできた女性宮家が事実上誕生した。国民の多くが望んでやまない“愛子天皇への扉”が開き、その未来への光明が差し始めた。
画像ページ >【写真あり】「息子の彼女が着てたら評価高い」“千鳥格子ワンピース”姿の愛子さま(他9枚)
