■マスクを着用し続けるデメリットとは
同時に、マスク着用を続けるデメリットを見極めることも重要だ。
「7月は、気温が上昇して熱中症の患者が急増します。高齢者はエアコンが効いた室内でもマスクをしたままだと熱中症になることもあり、最悪の場合は死に至ります。昨年に比べ外出機会が増えている今年は、熱中症患者の増加が予想されます。熱中症リスクを避けるためにも、夏にはマスク着用をやめるべきでしょう」
そして、矢野先生はマスク習慣による“副作用”が将来的に表れてくることを危惧している。
「人間はさまざまな病原体に遭遇し、感染することで免疫を獲得していきます。手足口病やヘルパンギーナ、おたふくかぜなど、大人になってから感染すると重症化しやすい病気も少なくありません。特にワクチンがない『サイトメガロウイルス』は、子どものころに感染しても無症状や鼻かぜ程度のケースがほとんどですが、大人になってから感染すると大きなリスクに。妊娠中の女性が感染すると、母子感染によって生まれてくる赤ちゃんに目や耳の障害、頭が小さくなる小頭症などを高確率で引き起こします」
現時点でもサイトメガロウイルスに対する免疫をもつ妊婦は7割程度。それがさらに低下することが懸念されるという。
「マスク着用によって、“小児期に感染すべき感染症”に遭遇する機会が奪われてしまうことも大きな問題なのです」
また、4月から9月は病院の閑散期にあたることも7月にマスクを外せる理由のひとつに。
「わたしは病院経営に関わったことがあるのでわかりますが、病院は10月から病床が埋まりはじめ、冬には満床になります。閑散期である夏は、医療従事者のマンパワーに比較的余裕があります。マスクを外すことでコロナ感染者が増えることも予想されますが、7月からであれば冬に入る前に感染のピークを迎えるため、医療ひっ迫を防ぐことができます」