■肺がんはエックス線で見つかりづらい
予防と早期発見のために、できることは何だろうか。がん別に尾崎さんに教えてもらおう。
「胃がんは、おもにピロリ菌の保菌者における慢性胃炎を背景に、発症します。血液検査や呼気検査などで保菌状況を確認し、薬による除菌も可能です。胃炎などのある人は検査してみましょう。また早期に発見できれば、内視鏡で除去でき、数日の入院で済む。胃を切除する場合も、腹部に数カ所の穴を開ける腹腔鏡手術が主流になり、以前の開腹手術よりも格段に社会復帰が早くなりました」
大腸がんも同じ。将来、がん化するといわれるポリープを大腸内視鏡で除去する場合は日帰り入院も可能だ。
「早期発見のために、標準的な健康診断で行われる、便潜血検査を必ずしましょう」
肺がん検診で定番といえばエックス線検査だが……。
「じつはエックス線では早期の肺がんは見つかりづらく、低線量のCT検査がスタンダードになりつつあります。喫煙するなど、リスクが高くて不安がある人は、医師に相談してみましょう」
乳がんは、日々、お風呂上がりなどに、胸にしこりがないかセルフチェックをするとともに、定期検診が求められる。
「一般的に2年に1回ほどのマンモグラフィー検査がすすめられています。リスクが高い人はMRIを組み合わせるケースもあります」
医療技術の向上で、がんは“治る”病気になりつつある。それでも、確実に命を守るため、そして家計を守るために、家族で早期発見、早期治療を心がけてほしい。