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「親知らず」は、最後に生えてくる永久歯として知られている少し厄介な歯。生え方によっては口腔内のトラブルを引き起こす原因になることが多く、抜歯した経験のある人も多いだろう。

 

何と今、「親知らずの歯がない、生えてこない人」が増えているのだという。

 

「親知らずがもともとない人を診察したことがあります。さらに、きちんと親知らずが生えてこない人の数も、昔より増えているように感じます」

 

このように話すのは、新井歯科医院の医師、幸塚敦子先生だ。

 

そもそも「親知らず」とは、体の成長や知能の発育もほぼ終わり社会で独り立ちできるようになった時期、つまり親元を離れたとき(所説あり)に生えてくることから、このような名称がついている。最近では、問題なく生えている親知らずを抜かずに残し、将来的に移植用の歯として利用するという方法もある。

 

「親知らずの蕾は3~4歳で顎の骨の中に作られ始めます。ある程度石灰化が進行しないと確認することができないため、レントゲンでその一部が見られるのは早くても10歳ごろから。骨の中で形ができ、親知らずの頭は15歳ごろに完成します。18歳~20歳ごろに生えてくるのが一般的です。すべての人が生えるわけではなく、顎に埋まったまま生えてこない人や、30代40代になってから症状が出て親知らずがあることに気付く人もいます」(幸塚先生、以下同)

 

親知らずは上下で4本ほどあるのが一般的だが、それが無いケースはどのように判明するのだろうか。

 

「10歳ごろから成人までの間に、定期検診や歯科治療などでレントゲン写真を撮ったときに、偶然、親知らずがないことが判明するといったケースがほとんどです。先日診た18歳の患者さんも、親知らずが痛むということでレントゲン写真を撮影したところ、片方には親知らずがあるのに、反対側には存在しないことに気付きました」

 

このように、日本人の中で親知らずが先天的に欠如している人は全体の約24%も存在するというデータがある。親知らずが4本中1本もしくは2本欠如している人は約10%、3本欠如している人は約6%。4本すべてが欠如している人も何と日本人全体の中で約8%もいるというのだから驚きだ。

 

「データにもあるように、親知らず自体がもともとない患者さんはたまに遭遇します。そこまで珍しいケースではないですね」

 

そして、親知らずが欠如する確率は下あごに比べて上あごの方がやや高いのだという。そもそも欠如しているという人だけでなく、「親知らずがあるのに歯肉の中に埋まってしまう」などして、きちんと生えてこないという人の比率も年々増加していると考えられている。また、本来生えるべきではない、異常な位置に生えてしまう人も増えている。

 

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出典元:

WEB女性自身

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