■こどもの病と油断せず大人こそ注意が必要!
こどものときに感染することが多いのは、おたふくかぜ。
「ムンプスウイルスに飛沫感染、接触感染すると、耳下腺が腫れる耳下腺炎に。ほっぺたが腫れておたふくのように見えます。大部分は、症状自体は軽く終わりますが、まれに起こる髄膜炎、精巣炎、卵巣炎、心筋炎、脳炎、難聴など合併症が怖い。とくに成人が罹患すると重症化しやすくなります」
確率は低いものの、死亡も報告されているおたふくかぜだが、2016年の感染研の資料によると、50代のワクチン接種率は30%と低い。
「過去に感染歴がない、もしくは感染の有無がわからない、予防接種をしていない人などはワクチン接種を検討しましょう」
80歳までに3人に1人が発症するといわれる帯状疱疹も、春のような季節の変わり目に注意。
「水ぼうそうウイルスに感染すると、治った後も知覚神経の部位に潜み続けます。ストレスや加齢で免疫力が低下すると、ウイルスが再活動し、帯状疱疹を発症します。
発疹が出るなど皮膚症状が現れ、夜に眠れないほどの痛みが出たりします。怪談で有名なお岩さんも、帯状疱疹だという説があります。
今年4月よりワクチンが定期接種となり、65歳以上の人などを対象に、各自治体で接種費用の一部が公費補助されます」
昨年の春から秋にかけて山形県で感染拡大が確認されたのが、百日咳だ。世界的に見ても、昨年、ヨーロッパや中国で感染者が急増し、オランダでは感染者が5千人を超え、死者も出ている。
「ヒューヒューという独特の呼吸困難の症状があり、数週間、咳が続くのが症状。幼児へのワクチン接種が進められて予防できていますが、一部、接種をしていない人や免疫が十分でない人もいます」
春に活動的になるマダニが媒介するウイルスによって感染する、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)も注意したいところ。2023年には過去最高の133人の患者が報告されている。初期症状は発熱や全身倦怠感、消化器症状などだが、重症化して死亡することも。
「西日本を中心に発生しています。ワクチンもなく、免疫もないため、重症化しやすいといえるでしょう。春から活動的になるマダニに刺されないようにするため、山や森に入るときは長袖長ズボンを着用するなど対策が求められます」
50歳以上は特に、感染歴やワクチン接種歴を今一度チェックし、春の感染症予防につとめよう。
