目はショボショボ、鼻はぐずぐず、ティッシュが手放せない!
ここ10年で最恐の飛散量ともいわれ、現在、各地で被害甚大なスギ花粉。鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどの症状に「なんとかして!」と思っている人も多いだろう。
そんな花粉症の症状軽減が期待できる研究報告があった。
名古屋大大学院医学系研究科の加藤昌志教授が語る。
「私たちの研究チームでは、花粉症のモデルマウスの鼻腔内に亜鉛を曝露(点鼻)したところ花粉症の症状が軽減。
点鼻した亜鉛量は、推定ヒト相当量(人が日常生活でさらされる量)ですが、鼻の中の亜鉛濃度を高めることで花粉症の症状が抑えられることが動物実験でわかりました。
また、人においての研究でも、花粉症患者の鼻の粘膜や血液中の亜鉛の量が、花粉シーズンとその前では変化することも判明。将来的に、亜鉛が花粉症の症状の改善につながる可能性もあります」
亜鉛が免疫機能や、鼻粘膜の強化に作用すると考えられているが、花粉症で悩む人にとって光明ともいえる“亜鉛パワー”について、加藤教授がこう解説する。
「体に必要なミネラルのひとつである亜鉛は、筋肉や骨、皮膚、毛髪、肝臓などに分布し、新陳代謝や細胞の成長や分裂、免疫機能、粘膜の保護、味覚の維持など大切な役割を担っています。
亜鉛が足りない人は、肌荒れや味覚障害、免疫機能低下などさまざまな異常が現れます。
とはいえ、花粉症の症状を軽くするために、亜鉛サプリを過剰に摂取すると健康を損なうリスクがあります。
ふだんから亜鉛不足にならないように気をつけておくことが大切です」
そんな亜鉛だが、実は、日本人には不足しがちだという。
『亜鉛チャージ健康法』(アスコム)の著者のひとり、管理栄養士の岸村康代さんが語る。
「亜鉛は体内で生成されないため、毎日の食事によって摂取する必要があります。
欧米人に比べて日本人には亜鉛が不足している『亜鉛欠乏症』が多いのです。
その理由は、無理なダイエットによる栄養不足や栄養バランスの乱れによると考えられています。
また、加工食品やインスタント食品の添加物として多く含まれているポリリン酸ナトリウムやリン酸塩には亜鉛を体外に排出する作用があり、吸収を妨げてしまうのです」