息子を救った母が警告「いじめは2学期から残酷化する」
「夏休み明けの2学期からいじめはひどくなります。いじめから子供を守れるのは母親だけ。自分が守るというスタンスが大切です」
そう強く訴えるのは作家の佳川奈未さん。佳川さんはこのたび、息子をいじめから救い出すまでの壮絶な経験を告白した『「いじめ」は2学期からひどくなる!』(ポプラ社刊)を緊急出版した。佳川さんは、2学期に突入したばかりの今が、いじめのひどくなる時期だと警鐘を鳴らす。
「滋賀県大津市で、中学2年の男子生徒がいじめが原因で自殺したというニュースを聞いた瞬間、私は体が震えました。またこんなことが起こってしまった、息子が中学のときに受けたいじめと同じだ、と、胸が張り裂けそうで、いてもたってもいられませんでした。私は息子を自殺に追いやられる前に助け出せました。けれど、それまで受けた心と体の傷は10年以上たった今も消えてはいません。いじめとはそれほど悲惨なんです」
なぜ2学期にいじめはひどくなるのか。佳川さんによれば、子供たちにとって新学年が始まったばかりの1学期は、『いじめの偵察時期』なのだという。
「クラスに慣れるため、誰もがまわりをじっと見て自分のポジションを探すと同時に、他人の弱点をあぶり出していきます。3週間もすると『頭よさそう』『走るのが遅い』など、クラスメートのいろいろな個性が見えてきます。そして『いじめの種』を持つ子たちによって、ターゲットとなる”餌食”が選ばれるんです」
ターゲットにされたが最後、いじめという名の暴力は時と場所を選ばずに行われる。これが1学期の後半。夏休みになれば登校日くらいしかクラスメートとは顔を合わせないが、それもつかの間『魔の2学期』がやってくるのだ。
佳川さんは「1学期をなんとか耐え抜いたとしても、間違いなく2学期にはさらに残酷ないじめが始まります。これが学校でのいじめの典型的なパターンです。学校はルールなき戦場。凶悪な通り魔が学校にいるのと同じ」とまで語る。大津の事件でも、少年が自ら命を絶ったのは2学期の10月だった。
「2学期が始まった今、再びギリギリのところでいじめられている子はたくさんいるはず。そんなことがあっていいのでしょうか。みんな普通に生きる権利を誰にも奪われてはいけない、と私は思います」