「私たちは、これまでに1,500軒以上ものお宅を訪問してきました。何冊もの片づけ本を読んでも片づけられない、頑張って片づけたとしてもすぐにまた散らかってしまう、という人はとても多いです。これはテクニックさえ知っていれば片づけができるわけではないことを表しています。片づけに何度も失敗している人たちが抱えている問題を解決するにはどうしたらいいか、と考えて生み出したのが、『心理タイプ別片づけ術』なのです」
そう話すのは、“片づけのプロ”である安田マキさんと松下さおりさん。片づけ会社で知り合った2人は、エニアグラム心理学をベースにした「心理タイプ別片づけ術」を開発し、’18年から「エニアグラムお片づけ士(R)」として活動中だ。片づけられない、散らかしてしまう人の悩みをタイプ別に分け、わかりやすいお片づけ法を提案している。
「家が散らかっている人は『片づけ“さえ”できない自分』を責める傾向があります。女性ならなおさらです。しかし、それは自分だけが悪いわけではありません。自分の本質をきちんと理解できておらず、自分に適した片づけ方法を知らなかっただけのことなのです」(安田さん)
「心理タイプ別片づけ術」は、人間を9つのタイプに分類する「エニアグラム」という性格分類法をベースに、安田さんと松下さんが開発したもの。エニアグラム心理学はアメリカ・スタンフォード大でも取り入れられており、生まれながらに備わっている思考のクセを浮かび上がらせてくれる。
心理タイプ別片づけ術は、エニアグラムによる人間の9タイプの分類を、3つの大きなブロックに分類したものに基づいている。「面倒くさがりなタイプ」は直感や身体感覚を重視し、現在を大切にする。「思い出に執着するタイプ」は自分の気持ちを重視し、過去を大切にする。「不安を募らせがちなタイプ」は考えることを重視し、未来を大切にする。このように、物事の考え方や性格が異なる人には、それぞれに適した片づけ方・考え方があるのだ。
散らかっている家に共通している第一の原因は「モノが多すぎる」こと。モノを取っておく、減らせない、捨てられない事情は人それぞれだが、家が片づかない理由は「モノを手放せない気持ち」が根本にあるのだという。
自分の理想の暮らしを実現するためには、“モノを選ぶ作業”が基本となる。自分のタイプを踏まえて、この取捨選択を妨げているものが何なのかを把握することがとても大切だと安田さんと松下さんは話す。
そして、どのタイプの人でも陥りがちな3つの片づけのNG行為が次の3つ。
【1】収納グッズを先に買う
棚や衣装ケース、小分けをするための仕切りボックスなどは、買っただけで片づけが進んだ気になり、満足感が得られる。このようにどこに何を入れるか決めないまま買ってしまうと、収納グッズそのものが散らかる原因になってしまいかねない。収納グッズを購入するのは、モノを取捨選択した後にしよう。
【2】「目的」を設定しないまま片づけをスタートする
片づけ自体がゴールになってしまうと、片づけは苦難なものになってしまう。すると、片づいたとしても、また元どおりになる“リバウンド”を引き起こす危険性も大きい。どんな暮らしがしたいか、どんなインテリアが好きなのか、イメージは具体的なほどいい。憧れの住まいの写真を検索したり、インテリア雑誌を読むなどしてみよう。
【3】自分ひとりで片づけを進めようとする
夫や子どもに何も言わずに片づけを始めても、どれがいるものでいらないものなのかわからず、うまくいかない。ひとりで抱え込まずに、家族みんなで、どんな家にしたいのか、ゴールを話し合うことが大切だ。ゴールさえ決まれば、そぐわないモノは片づけを主導する自分が捨てても構わないだろう。
片づけをする際には、この3つの注意点を忘れずに。
「女性自身」2021年4月27日号 掲載