5人に1人が認知症時代に知りたい「介護にかかるお金の実態」
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■訪問診療を利用すると医療費がさらにかかる

 

自己負担は介護サービスにかかった費用の1〜3割となり、要介護度に応じた利用限度額の範囲で利用できる。要支援1では1カ月約5,000円。要介護1は約1万7,000円、要介護5では約3万6,000円(自治体によって異なる)となる。

 

「認知症の人は、認知症対応型ではないデイサービスも利用できます。要介護2の母の場合、1カ月の介護サービス費は約2万円です。月曜は訪問看護師さんに来てもらい、火曜と金曜はデイサービスに通う日、水曜は訪問リハビリを受け、木曜、土・日曜はヘルパーさんに来てもらう、というように、毎日見守りを兼ねて誰かに来てもらうシフトを組んでいます」

 

このように、利用限度額の範囲内であれば、介護サービスを組み合わせて使うことができる。また、車いすや介護ベッド、手すりなどのレンタルも利用できる。

 

このほか、実費でおむつ代、定期的な見守りを兼ねた配食サービスや見守り機器代などがかかる。工藤さんは、さらに医療費の負担が大きいと話す。

 

「母は24時間対応の在宅療養支援診療所がかかりつけ医で、定期的に受診するほかに、何かあったら医師に来てもらえるようにお願いしています。母は一人で病院に行くことができないので、必ず私が付き添います。帰省のための交通費と、レンタカーを借りる費用、タクシー代などがかかります」

 

認知症の症状が進行すると、自宅に閉じこもりがちになったり、通院を嫌がるケースもあるため、医師による訪問診療を利用する家庭が多いという。仮に、医師による訪問診療を月4回、看護師による訪問看護を月8回利用する場合、医療費は月12万円。1割負担なら約1万2,000円かかり、このほかに薬代が別途必要になる。在宅での介護が限界に来ると、施設への入居を検討することになる。認知症の人が入居できる施設を見ていこう。

 

「認知症は、症状が出始めても要介護度は軽度のことが多く、軽度のうちから入居できるケアハウスやサービス付き高齢者住宅には、『認知症になったら退去する』といった要件を設けている施設も多く、入居できる施設が限られてきます。認知症の人が入ることができる施設は、特別養護老人ホーム(特養)、グループホーム、介護付き有料老人ホームなどに絞られてきます」

 

グループホームは、少人数で共同生活を送りながら、日常生活の介護を受ける施設。費用は施設サービス費(介護保険自己負担の1〜3割)のほかに食費、居住費、水道光熱費など、トータルで月15万〜20万円程度かかってくる。施設によっては入居一時金がかかる。

 

特養の入居は原則要介護3以上からで、待機者も多くハードルは高い。介護付き有料老人ホームは、都心部か地方によって価格差があり、入居一時金は0〜数千万円、月額も15万〜35万円とかなりの開きがある。

 

施設に入居する期間が長いほど、介護の費用は増える。親が所有する資産によっても、在宅か施設かの選択肢は定まってくる。

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