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(写真・神奈川新聞社)

福島第1原発事故で、全村避難となった福島県飯舘村出身の2人の女性を追ったドキュメンタリー映画「飯舘村の母ちゃんたち土とともに」の古居みずえ監督(67)と出演している菅野(かんの)榮子さん(80)が5日、横浜シネマリン(横浜市中区)で舞台あいさつを行った。菅野さんは「避難生活を送る人間の心の内を、映画を通して理解してほしい」と訴えた。

映画は、30年近くパレスチナの取材を続けるジャーナリストの古居さんが撮影・監督を務めた。榮子さんは、親戚の菅野芳子さん(78)と仮設住宅で隣同士に暮らす。2人は、郷土の食文化を後世に伝えようと奔走し、近所の畑を借りて自給自足の生活も続けている。

子どもや孫たちと離れ離れになりながら、福島で1人暮らしの避難生活を送る2人。映画では「ばば漫才」と冗談を飛ばし合い、互いに元気づけるが、榮子さんは「泣き笑いがほとんど。笑ってないと前に進めない」と、思いを打ち明けた。

飯舘村では、除染作業が行われ、来年には帰村のめどが立ちつつある。だが、そうした動きに住民らは不安を募らせる。

「帰れない所に帰らざるを得ないのが現状」と榮子さん。大切にしてきた畑や土地の木々などが、放射能汚染によって黒い袋に廃棄されている様子も映画には映し出されている。

原発事故から5年。「福島の現状が遠くなってきてしまっている」と古居さんは指摘する。横浜市出身のプロデューサー飯田基晴さん(42)は「若い人たちに伝えたいメッセージが入っている映画。多くの人に見てほしい」と話している。24日まで。問い合わせは、横浜シネマリン・電話045(341)3180。

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