(写真・神奈川新聞社)
ミカン農家に強力助っ人―。大磯町の農園にこのほど、湘南みかんの魅力と農家の現状を知ろうと、東京大学の学生らで構成する「東大みかん愛好会」の会員約30人が訪れた。果実の成育のために暑さの残るこの時期でも不可欠な摘果作業に汗を流し、摘み取った小さな青い実の活用法などを考えた。
同愛好会はミカン好きが高じて東大生らが中心となって発足し、消費拡大への活動を続けている。ミカンの消費量が全盛期の3分の1に落ち込んでいると指摘する寺田連蔵共同代表(21)は「受験勉強中でも食べていたミカン。良さをもっと広めたいし、自分たちもさらに深く知りたい」と話す。
今回は摘果ミカンを使った商品開発などを通じ、湘南地域の農家の支援活動に取り組んでいるNPO法人「湘南スタイル」(茅ケ崎市、藁品孝久理事長)の呼び掛けに応じ、大磯町の二梃木治雄さん(73)の農園に足を運んだ。
「傷が付いたものや小さく密集して実っているものなどを摘む」と二梃木さんの指導を受け、4アールの畑を約2時間かけて作業。まだ実は小さくても発する強い香りに驚き、わざわざ木に登って全体を見ながら実をバランス良く残すこだわりを見せる者もいた。
休憩時間には摘果ミカンの試食や、炭酸飲料で割った果汁を試飲した。理科二類1年の加藤真帆さん(19)は「小さい実はまだ酸っぱかった。甘く煮詰めればジャムになりそう」と活用術を思い描いていた。
現在、大磯町内でもミカン農家は30年前に比べ3分の1に減るなど、取り巻く環境は厳しい。二梃木さんは「こういう時期にやらなければいけない作業を通して、彼らが農業を理解してくれることに意味がある。しっかりと畑の隅々までやりきってくれた」と“若き援軍”に感謝した。同愛好会は秋の収穫期の協力も申し出たという。