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(写真・神奈川新聞社)

人型のユニークなデザインで、環境への配慮も盛り込んだ個性的な緩衝材が注目されている。デザインから製造、販売まで手掛けるのは、佐野デザイン事務所(川崎市中原区)。「ギフトは、人から人へ」をテーマに、人が連なるように組み合わせることができる緩衝材だ。枠や切りしろは最小限にとどめるデザインで、原材料から製品になるまで、ほとんど無駄が出ないのも特徴だという。

 

人型緩衝材「Cushion san(クッションサン)」のアイデアは、同事務所代表のプロダクトデザイナー、佐野正さん(50)が、展示会場に並ぶ多様なギフト商品を見た際に、ひらめいたという。「緩衝材をデザイン性の高いものにすることで、もっと商品価値を上げることができるのでは」

 

A4型のスポンジシートには60個分の人型の切れ込みが入っており、必要な分だけ取り出して使うことができる。緩衝材を抜いた切れ端が極力出ないよう、デザインを工夫した。試作品作りでは、スポンジ加工に手を焼いたが、優れた技術を持つ企業に出会い、製品化にこぎ着けた。

 

2011年から販売を始めると、緩衝材としてはもちろん、食器洗いや写真立て、子ども用パズルにと、活用方法が広がっていることが分かった。佐野さんは「使う人の発想力で、まだまだ世界が広がるのを感じている」と話す。

 

さらにクッションサンを利用するラッピングのプロからは、「収納しやすい、コンパクトなものを」との要望も。こうした声を背景に15年、一枚の紙に木の葉の切れ込みを入れた「クッションサン・リーブス」も開発した。

 

リーブスは、紙の両端を持って引っ張ると葉が連なった形になり、ねじれば立体に変化する。切れ込みに葉の部分を差し込めば、のりやテープを使わずに固定することもできる。商品化までには100通り以上のデザインを描き、紙質や厚さなどを変えながら約50種類の試作品を作ったという。緩衝材のほか、丸めてリースを作ったり、アロマオイルなどを染み込ませ、香りを拡散させるディフューザーとして使ったりできるという。クッションサンは、川崎市の「川崎ものづくりブランド」に、リーブスは「低CO2川崎ブランド’15」にそれぞれ認定された。

 

現在は既存商品の販路開拓とともに、和のテイストを取り入れた紙製の新商品の開発に取り組んでいる。佐野さんは「デザインの持つ力を身近に感じてもらえる、無駄なく美しく、機能的な商品を作り続けたい」と話している。

 

クッションサンは7色で素材により378円、540円。リーブスは15色、540円。東急ハンズと同事務所ウェブショップで購入できる。問い合わせは電話050(3745)8790。

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