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(写真・神奈川新聞社)

 

ロックバンド「アジアン・カンフー・ジェネレーション」(アジカン)が結成21年目の年を迎えた。20年の節目として全国5カ所を巡るライブは終盤に突入。10、11日に東京・日本武道館で、14日の福岡で幕を閉じる。

 

「オレの中でクライマックスは、建ちゃん=喜多建介(39)=がガッツポーズしたとき。きょう2曲目までの間に右手を上げていたから。それを見てバンドで良かったなって」

 

アジカンのボーカル、ギターの後藤正文(40)は昨年12月の千葉・幕張での初日を振り返る。

 

ライブ前に緊張することは少なく、楽しいと思うことが多いと話す後藤だが、この日は本番前に、「20周年」と言われ、「うわっ」となった。幕開けとあり福岡、長野、大阪など各地から集まったファンを前に、「オレら緊張するのは、みんなにちょっとでもいいところを見せたいと思うから」と笑ったが、3時間に及んだライブを終え、「いまになって胃が痛い」と右手で腹をさすった。

 

ツアーには、2004年に制作した2枚目のアルバム「ソルファ」に収録した12曲を「いまの4人の音にアップデートしたい」と全曲、再録音した作品を従える。

 

大ヒットした「リライト」ではかき鳴らすようなギターの音が聞こえた瞬間に、爆発したような盛り上がりになる。「ループ&ループ」では「右手、左手」と歌う声に合わせ、客席から手が上がる。12年間、会場を熱く揺らし続ける曲は、“いまの4人”を更新し続けている。

 

1枚目のアルバム「君繋ファイブエム」(03年)の好評を受けて、次の「ソルファ」では聴き手の期待に応えたい、自分自身を乗り越えていくという気概で打ち込んだ。

 

「今回改めて(曲と)膝を突き合わせてみて、04年の自分たちは下手だったなって思うけど、周囲を見返してやろうという思いがすごい。難しいコードを多用したり、意地悪な曲作りをしたりしていて。若いときは引き出しの中にたくさんのものを持ってないけれど、作ってみたいという思いにあふれている」。その熱は、「おじさんになった僕たちを、当時の自分が追い詰めてくる。『油断していると、どうにかなっちゃうぜ』という声が聞こえてくる」。04年当時、音に刻んだ思いを受け止めた後藤はそう語った。

 

自分たちが望む姿を体現するために。本番前日には本番と同じ時間にスタートし、展開するゲネプロを欠かさない。その前にも全体の練習。ゲネプロ後も、開演までに、曲間の間合いや、音の重ね方など細かな修正を繰り返す。

 

中でも過酷なのは、スピードと重さがあるドラムをたたく伊地知(いぢち)潔(39)だ。「ドラマーはアスリートに近い」と話す伊地知は、来年、再来年もたたけるようにと、体幹トレーニングを欠かさない。練習後にはリハーサルで酷使した筋肉を休めるため入念にマッサージを施している。

 

人気アニメのテーマ曲にもなった「Re:Re:」では、歯を食いしばり演奏する伊地知を、ベースの山田貴洋(39)が振り返り、励ますような場面もあった。

 

リーダーの喜多はこれまでのステージを振り返り「緊張したけれど、これからさらに良くなっていくと思う」。山田は「20年の集大成と言えるようなライブにしたい」と新たな舞台に決意をみなぎらせた。

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