(写真・神奈川新聞社)
タワーマンションが林立する川崎市中原区の武蔵小杉駅周辺のまちづくりについて、地元の市民団体が住民アンケートを実施した。「超高層マンションはもういらない」とする意見が8割近くに上り、同団体は「ビル風や駅の混雑など多くの課題がある。将来の人口減も見据えた都市計画にすべき」と指摘、市などに再開発の見直しを訴えている。
アンケートは、住民らでつくる「小杉・丸子まちづくりの会」が実施。5年前に発足し、ビル風の被害調査などを行いながら、超高層マンションの建設が相次ぐ再開発に疑問を投げ掛けてきた。
現在は同駅北側の日本医科大学地区(小杉町)で、高さ180メートルのマンション2棟や新病院、市立小学校などを整備予定の再開発計画がある。全体の完成は2023年度を目指していたが、今年1月、新病院とマンション建設が2年半ほど遅れると市に報告があった。
マンション建設まで時間ができたことから、同会は「住みたい街ランキングで上位に入るものの、実際の住民が住みよい街として満足しているのか知りたい」とアンケートを発案。6月に駅周辺の約3千戸に配布し、約450件の回答を得た。居住年数は11年以上が6割、6~10年が2割で、住居形態は19階以下のマンションが6割、タワーマンションも30件あった。
武蔵小杉に住んで良かったと思う点では、「交通の便が良い、都心や横浜に行くのに便利」という回答が多かった。不便に感じている点では「ビル風が強い」(72%)が最多。「駅の混雑が大変」(55%)、「駅周辺に公園や緑地がない」(41%)と続いた。住みよいまちづくりのための意見では「駅周辺に超高層マンションはもういらない」(79%)がトップで、タワーマンション居住者も3割近くがそう回答していた。
同会は今月14日、アンケート結果と共に、市に質問状を提出。再開発の見直しや環境被害への受け止めなどについて見解を求めた。
同会の広川宗生代表は「タワーマンション居住者も含め、多くの人が不便さを感じていることを知ってほしい」と話している。同会は22日午後6時半から、エポックなかはら(同区)で「武蔵小杉のまちづくりを考える市民の集い」を開く。資料代500円。問い合わせは、同会事務局の橋本稔さん・電話044(722)8012。