米軍普天間飛行場の名護市辺野古計画への移設を巡る訴訟の上告審判決が言い渡された最高裁第2小法廷=20日午後(写真・琉球新報社)
沖縄県の翁長雄志知事による名護市辺野古の埋め立て承認取り消しを巡り、国が県を相手に提起した不作為の違法確認訴訟で、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は20日、県の上告を棄却した。承認取り消しは違法だとした福岡高裁那覇支部の県敗訴の判決が確定した。最高裁は県の上告受理申し立てを受理した各争点の高裁那覇支部の判断について「結論において是認することができる」として踏襲した。高裁判決が安全保障や「地理的優位性」の観点からも辺野古新基地建設が普天間飛行場の危険性除去の唯一の解決策だと断定した点は、一切触れなかった。県は敗訴を受け、26日にも承認取り消しを取り消す。沖縄防衛局は埋め立て承認の効力が戻り次第、早ければ同日に埋め立て本体工事を再開する。
防衛局はまず工事区域への浮具(フロート)設置を進める予定。年明けから本格的な工事を始める。
判決は裁判官4人全員の一致で、個別意見はなかった。仲井真弘多前知事の埋め立て承認に違法や不当がない場合は「承認取り消しは違法となる」と結論付けた。その上で埋め立ての必要性・合理性の判断では、新基地は普天間飛行場の面積から縮小し、米軍機が住宅地上空の飛行が回避されるなどとの前知事の判断について「事実の基礎を欠くものであることや、その内容が社会通念に照らし明らかに妥当性を欠くものであるという事情は認められない」とした。
環境保全策などへの十分な配慮についても、「(前知事の)判断過程および判断内容に特段不合理な点があるとはうかがわれない」と判断した。
承認取り消しを取り消すよう国が県に求めた「是正の指示」については、承認取り消しが違法であるため、要件を満たしており適法だとした。是正の指示に従わなかったことは「違法な」不作為ではないとする県の主張に対しては、是正の指示が出された1週間後には、是正の指示に従う「相当の期間が経過している」との見解を示した。県・国双方に協議を求めた国地方係争処理委員会の決定を受けて県が協議を申し入れたことについても「結論を左右しない」とした。