米軍キャンプ・シュワブゲート前に座り込む市民を強制排除する機動隊員(左)の手に、はさみが握られている=15日、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前
【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古での新基地建設工事で15日午前、米軍キャンプ・シュワブのゲート前で座り込み建設反対を訴える市民らに対し、沖縄県警機動隊がはさみを取り出し、隣り合う市民同士が腰に巻き付けていたひもを切って排除した。大勢の市民と機動隊員がにらみ合い、激しいもみ合いが発生するなど混乱した現場で警察側が刃物を使用したことに批判の声が上がっている。
ゲート前には午前8時すぎから市民ら約130人が工事車両の進入を阻止しようと座り込んだ。午前8時40分ごろから県警機動隊による市民の強制排除が始まり、工事車両を入れるためにゲートを開けた。市民は座り込みの際、隣り合う人同士腕を組んで座り、機動隊に簡単に体を抱え上げられないように抵抗した。市民のうち10人程度が腕組みに加え、腰の部分に麻のような素材でできた太いひもを腰に巻き付け、隣の人とつないだ。複数の人をひもでつなぐことで総体重を重くし、機動隊による排除に少しでも長い間抵抗しようとするためのものとみられる。
機動隊員は「はさみ」と声を上げ、別の隊員からはさみを受け取り、市民らが腰に巻き付けていたひもを切断し、1人を4~5人程度の隊員で持ち上げるなどして排除した。
抗議活動に参加していた市民からは「刃物で人が傷ついたらどうするんだ」「危ない」などと機動隊の対応を批判する声が上がった。
沖縄人権協会の永吉盛元事務局長は「ひもで連携し合うのは沖縄の歴史的な(基地反対の)闘争でもやってきたことで、危険でもない。はさみは凶器であり、行き過ぎだと思う。運動に対する威圧だ」と機動隊の対応を批判した。