「牛はほっとけないし、飽きない。本当に楽しい」と笑顔で語る柴田奈純さんと「はな」=8月31日、糸満市武富の南部家畜市場
【八重瀬・糸満】「私は畜産女子」―。名古屋市出身の柴田奈純(なずみ)さん(28)は、2016年7月から沖縄県八重瀬町世名城の城間畜産東風平農場で和牛畜産家として28頭の世話に奮闘している。動物病院や塾、ガソリンスタンドなどで働いてきたが「今が一番ハッピー。つらいと思ったことはない。若い世代に興味を持ってもらえるような畜産業界にしたい」と抱負を語る。ホームページ「WAGYU NAZUMI」も開設し、畜産の仕事を分かりやすく紹介している。
愛知県の至学館大学で空手を専門に学んだ柴田さん。25歳で訪れた鹿児島県の徳之島で闘牛に出会った。牛の格好良さに引かれ、畜産の仕事に興味を持ったという。その後、福島県の農業短大で学び、家畜人工授精師の資格を取得した。
16年5月、沖縄に移住。仕事を求めて闘牛が盛んな本島中部の畜産農家をまわった。しかし「人手は足りている」と働き口は見つからなかった。
その後、中部で知り合った畜産農家の紹介で、16年7月から城間畜産(南城市、城間利幸社長)で働く。現在は八重瀬町の東風平農場で28頭を世話する。「人と同じで体調管理が大事。暑くなれば食欲が落ちる。牛の体調を細かく見る目を養わなければならない」と語る。
なかなか休みは取れないが、「つらいと思ったことは一度もない」ときっぱり。「50歳の先輩でも『牛は分からん』と言う。牛は一頭一頭違い、飽きない」
夜は、糸満市和牛改良組合の副組合長を務める山城義光さん(37)の牛舎を手伝う。山城さんは「柴田さんはとても仕事熱心。これからも頑張ってほしい」とエールを送る。
柴田さんは「畜産は汚い、臭いというイメージだけではない。若い人たちに畜産を知ってほしい」と強調する。明るく話す瞳は、いきいきと輝いている。
ホームページアドレスはhttp://wagyunazumi.com/
(豊浜由紀子)