(写真・神奈川新聞)

 

障害者が農作業に就く「農福連携」が、横須賀市内で広がりつつある。高齢化や人手不足に悩む生産農家と、就労機会になかなか恵まれない障害者の双方にメリットをもたらすとあって、全国でも地域課題の解決策として注目される。市と都内の特例子会社が協定を結び、今秋から市内の農園で障害者が収穫作業を手伝うことも決まった。上地克明市長は「障害者の雇用と地域農業の活性化につながれば」と期待を寄せている。

 

「これは『ごちそうナス』。トゲに気を付けて収穫してください!」

 

13日午前。同市長井の畑で、「ブロ雅(まさ)農園&鈴木浩之農園」の鈴木雅智さん(36)の声が響いた。

 

福祉事業所「アイルビー」(横浜市金沢区)を利用する、知的や精神に障害がある男女計7人が2時間、下草取りや、ナスやピーマンの収穫に汗を流した。「やっぱり収穫の方が楽しいね」。男性(24)が屈託のない笑顔を見せた。

 

「彼らが手伝ってくれて、本当に助かっている」と鈴木さん。5月から週1、2回、アイルビーの利用者を受け入れている。

 

鈴木さんは、長井海の手公園「ソレイユの丘」の前など計18カ所(1万8千平方メートル)の畑を所有し、年間100種類以上の野菜を育てているが、他に作業を担うのは高齢の両親と妻の3人。鈴木さんは「この広さをこの人数でやるのは無謀に近い」と苦笑いする。

 

福祉と連携することで、農家には担い手の確保だけでなく、自らの収入が増え、耕作放棄地が減るメリットもある。鈴木さんは「初心者でもできる仕事はある。仕事を選別した上で指導すれば、障害者にも絶対にできる」と強調する。

 

障害者も、農作業を通じて、挑戦する機会を得られることが大きい。アイルビーの宮城里美理事長は「一般就労を目指す障害者もいるだけに、さまざまなことにチャレンジし、できることを増やしていけたら」と期待する。

 

地域課題の解決策の一つとして全国で広がる農福連携に、行政も注目し始めた。市は19日、特例子会社「パーソルサンクス」(東京都中野区)と連携協定を締結した。

 

協定により、同社は10月、市内に拠点を開設。市内の農家と業務委託契約も結び、障害者が農作業を手伝う予定だ。同社の中村淳社長は「2020年までに30人を雇用したい。農業を通じてさまざまな人材が活躍でき、活気ある横須賀になれば」と話している。

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