次世代移動通信システム「5G」を活用したスタジアムでの自由視点映像のリアルタイム配信の実証実験。一塁寄りの内野席から左打者の顔が見える=27日、那覇市奥武山町の沖縄セルラースタジアム那覇 画像を見る

 

沖縄セルラー電話(那覇市、湯淺英雄社長)とKDDI(東京都、髙橋誠社長)、KDDI総合研究所(埼玉県、中島康之所長)は27日、次世代移動通信規格「5G」を活用したスタジアムでの自由視点映像のリアルタイム配信実証実験に世界で初めて成功したと発表した。同日、那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇で報道各社に公開した。

 

同実験では、スタジアムの内野席を囲むように設置された16台のカメラで打席付近を撮影。映像をサーバールームで処理し、左翼側照明灯に設置されたアンテナから一塁寄り内野席に設置されたタブレット端末10台にリアルタイムで映像を配信した。利用者は観客席からタブレット端末で、自分の好きな角度から打席を見ることができる。27日のプロ野球公式戦の北海道日本ハムファイターズ対福岡ソフトバンクホークス戦では、一塁寄り内野席に座りながら打席で構える左打者の表情を見ることができた。

 

従来の方式では多数のカメラ映像の切り替えにより自由視点を実現していたが、今回の方式ではカメラアングルにない角度の映像を3次元のコンピューターグラフィックスモデルで表現し、少ないカメラでの自由視点を実現した。

 

5Gは2020年以降の実用化に向け開発されている通信技術で、現在使われている「4GLTE」に比べ、高速・大容量で遅延が少なく、多くの端末を接続できる特長がある。今回の実験でも高速大容量という特性を生かして実現できたという。

 

KDDI技術統括本部モバイル技術本部の松永彰シニアディレクターは「具体的なことは検討中だが、スポーツやエンターテインメント以外にも使える、応用分野の広い技術だと思う」と話した。

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