【東京】糸満市出身の漫画家・和山やまさん(24)=ペンネーム=が8月に初の単行本「夢中さ、きみに。」(KADOKAWA)を出版した。1カ月で3刷を重ねる人気ぶりだ。作品では個性的な男子高校生「林くん」を中心に、奇妙でありながら、なんだかうなずいてしまう高校生たちの日常を描く。「漫画家を仕事にするという夢はかなったが、まだまだこれから。今後は沖縄を舞台にした作品づくりもしたい」と話している。
和山さんは糸満南小学校を卒業後、中学、高校は沖縄尚学で学んだ。高校3年で進路に迷っていた時、絵を描くのが好きだったことから漫画家を目指し、東京工芸大マンガ学科に進学した。
大学2年の終わり頃に講談社の雑誌「モーニング」が企画し、漫画家のちばてつやさんが選ぶ新人賞に応募し入選を果たした。それを契機にウエブ限定の「Dモーニング」で、沖縄が舞台のサーフィンを題材に描いた漫画「渚へいこう」が公開され、漫画家としての初仕事となった。
初めてネットで公開して好評を得た「二階堂くん」と、同人誌にまとめた「林くん」を合わせて「夢中さ、きみに。」を出版した。本を紹介する雑誌「ダ・ヴィンチ」の次にくるマンガ大賞でも紹介された。短文投稿サイトなどでは、不思議とくせになって何度も読み返してしまう作風が評判だ。
和山さんは年内にも、別の出版社の雑誌で新たな連載を始める準備も進めている。「林くん」ら高校生の日常は実体験から来るものかと尋ねると、「妄想。漫画家は皆、そうだと思う」と話した。「中高生の若い男の子や女の子を描くこと」が心の琴線に触れる「萌(も)え」を感じるという。ホラーものにも興味があるといい「ホラー漫画も描いてみたい」と展望を広げている。
(滝本匠)
関連カテゴリー: