絶滅危惧種のジュゴン=2008年3月、名護市嘉陽沖(ヘリから撮影) 画像を見る

 

沖縄県名護市辺野古の新基地建設工事を巡り、9月に沖縄防衛局が開いた環境監視等委員会で、工事現場の周辺を含む本島周辺海域で確認されていたジュゴンについて、委員の一人から「絶滅してしまった可能性が高い」との発言があったことが分かった。一方、新基地建設がジュゴンの生息に与える影響を懸念している専門家からは、絶滅したと判断する前に広域調査を実施すべきだとの声や、新基地建設作業を中断して工事との因果関係を確認すべきとの批判が上がっている。

 

この発言があったのは9月9日に開かれた第21回環境監視等委員会。防衛局が公開した議事録によると、「個体A」「個体C」と呼ばれていたジュゴン2頭が新基地建設が始まった後に行方不明となっていることについて、「絶滅してしまった可能性が高いと思っているが、それを確認する上でも広域調査ができないかと思う」と発言した。

 

別の委員は個体Aや個体Cが別の海域に移動した可能性に触れ、識別のためにも広域調査が必要だとした。防衛局は広域調査に否定的な考えを示した。

 

ジュゴン保護キャンペーンセンターの吉川秀樹氏は「沖縄周辺のジュゴンが絶滅の危機にひんしているのは確かだ」とした上で、「だからこそ政府は2~3年工事を停止してジュゴンが戻ってくるのかを確認すべきだ」と指摘した。

 

日本自然保護協会の安部真理子主任は「個体Aや個体Cが生きているのか、日本の環境行政としてしっかり確かめるべきだ」とし、環境省による広域調査の実施を求めた。

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