沖縄県の「万国津梁(しんりょう)会議」の設置支援業務を巡り、県が受注者に対し、5分野の会議のうち3分野しか実施されていない段階で業務委託料約2407万円の9割を支払っていたことが6日、分かった。6日始まった県議会11月定例会一般質問で文化観光スポーツ部の新垣健一部長が認めた。新垣氏は「契約によるものだが、議員からいろいろな疑義もあるので改めて契約書も含めて検討したい」と述べ、今後の対応を精査する考えを示した。末松文信氏(沖縄・自民)への答弁。
万国津梁会議は県が掲げる沖縄21世紀ビジョン実現のために5月に設置された。県は最終的に五つの分野の会議を設置する予定で、5月30日の基地問題に関する会議を皮切りに、持続可能な開発を意味するSDGs、虐待防止の3分野を先行させて会議を開いている。
同会議の開催に伴い、県はプロポーザル方式で選定した、山形県の一般社団法人「子ども被災者支援基金」を代表とする4者からなる共同事業体と5月24日に業務委託契約を締結。契約書の「概算払い」の項目では「委託事業の進捗(しんちょく)度合いに応じて業務委託料の10分の9に相当する額」の支払いを規定している。
これまで開催された会議は5分野のうち3分野にとどまるが、県は6月と8月に2回に分け、契約額の計約9割に当たる2166万円を受注者に支払った。末松氏は「成果も確認せずに9割を公金から支払ったのか」とただした。
業務委託費の支払いの在り方について見解を求められた県の監査委員は土木事業の例を挙げ「一般としては出来高払いだ」と述べた。
新垣文化観光スポーツ部長は「会議の開催頻度や回数が予測できないことや、幅広いテーマの情報収集が必要であることなどから柔軟な対応が必要だと判断し概算払いをした」と述べた。
万国津梁会議の管理・調整を行う県交流推進課は本紙の取材に対し「債務金額が未確定の場合に概算で支払い、業務が完了してから関係書類を検査して金額を確定する。流動的な事業なので会議ごとに経費を計算するのは難しく、領収書などは業務完了時に確認する」とした。3分野のみの開催時点で全5分野分の概算払いをしていることについては「1分野で一つのテーマとも限らず、機動的に動けるように勘案した」と説明した。
また、県の辺野古新基地建設問題対策課のホームページに記載された玉城デニー知事の全国キャラバンのお知らせのリンクをクリックすると受託団体のページに移り、キャラバンの詳細を記したページの一番下に「入会・寄付のご案内」があることが問題ではないかと問われ、池田竹州知事公室長は「県のHPで入会申し込みを直接やっているわけではない」と釈明した上で「指摘を踏まえ早急に検討していく」と述べた。新垣新(沖縄・自民)氏への答弁。