【読谷】サツマイモ基腐(もとぐされ)病の影響で、イモの一大産地である読谷村では農家や加工、流通業に影響が出ている。村によると昨秋からこの病気の発生が確認され、農家やJAは対策に奔走している。原料の紅芋の確保が困難になったことから、御菓子御殿(読谷村、澤岻英樹社長)は主力商品の「元祖 紅いもタルト」の販売を一部休止した。
発生を受けて読谷村では昨年12月に甘蔗(かんしょ)産地協議会が開かれ、村職員や農家、JAなどが参加した。村によると複数の農家が罹患(りかん)して、ほとんど出荷できなくなった農家もある。協議会の参加者からは、先行きを不安視する声が上がったという。罹患農家を支援するため、村は発生していない地域から苗を譲り受け、村有地で育てている。
約5割が出荷できなかったという、農家の知花昌勝さん(80)=同村=は「どうしてこんなことになったのか分からない」と肩を落とす。植え付け4カ月後に葉や茎に異変が見られたので掘り起こすと、強い臭いを発して腐っていた。畑を消毒し、新たな苗を植え付けたが「発生源が分からないのでどうなるか不安だ。行政は対処法など、細かく指示してほしい」と訴えた。
御菓子御殿は1日から、直営店やスーパーで「紅いもタルト」の10個入りと15個入りの販売を休止した。6個入りは数量限定で販売する。同社は原材料の紅芋を主に読谷村、久米島町、糸満市の契約農家から仕入れている。昨年9~10月ごろから仕入れ量が減少したという。
担当者は「鹿児島などの九州、沖縄でイモが不足している。農家に協力を依頼しており、8~9月には通常の販売に戻すことができればと考えている」と話した。現時点で他の商品への影響はないと言い、「早めの状況回復を目指すので今後もご愛顧いただきたい」と呼び掛けた。