沖縄防衛局は11日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた工事を12日に再開すると発表した。工事関係者の新型コロナウイルス感染を受け、4月17日から約2カ月間、工事を止めていた。7日投開票の県議選では、新基地建設に反対する当選者が過半数を占めていた。県議選から5日後の工事再開について、玉城デニー知事は報道陣の取材に「工事をするなら極めて遺憾だ」とけん制した。
菅義偉官房長官は8日、県議選で自民党が議席を増やしたことを受け「(辺野古移設について)かなり理解が進んでいるのではないか」と述べていた。菅氏の発言について玉城知事は「(自民は)県連の役員も落選しており、互いに痛みはある。そういう理由にはならない」と反論した。
関係者によると、防衛局は11日、作業員の2班体制を解除し工事再開に向けた準備をした。菅氏は11日の会見で「新型コロナ感染拡大防止対策について受注業者や米軍と調整し準備が整った」と説明した。工事再開のタイミングについて、県議選との関係は「全くない」と否定した。
12日は土砂投入の再開に向けて陸揚げに使う専用船が入る予定だ。新基地建設に反対する抗議行動も予想される。土砂の運搬再開は週明けになる見通し。
県は2、3月に辺野古沿岸部の工事現場周辺でジュゴンとみられる鳴き声が確認されていることから、工事を実施しないよう防衛局に指導した。
防衛局は11日、指導に回答する文書を県に送った。防衛局は本紙の取材に「県との個々のやりとりについて詳細は控える」と述べ、内容を公表しなかった。関係者によると、ジュゴン保護策は適切という旨を主張している。
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