記者会見を終え握手を交わす(左から)琉球銀行の川上康頭取と沖縄銀行の山城正保頭取=29日午後、那覇市松尾の八汐荘 画像を見る

琉球銀行の川上康頭取と沖縄銀行の山城正保頭取が29日、那覇市の八汐荘で共同会見を開き、包括業務提携協定「沖縄経済活性化パートナーシップ」を締結したと発表した。コロナ禍で苦境にある県経済を支えるための協業を検討し、事務業務などの共同化によるコスト削減に取り組む。激しい地域シェア争いを繰り広げるライバル行が初の業務提携で一致し、全国的な地銀再編の動向にも影響を与えそうだ。一方で、経営の独立性は維持するとし、両頭取ともに、将来的な経営統合や資本提携強化の可能性を否定した。

 

協力の具体的な取り組み内容については今後決定していく。現金輸送や現金自動預払機(ATM)の運用、手形交換の業務共同化など、非競争分野で協力してコストを削減していくことを想定している。

 

2022年度までの3年間で、両行合計で約20億円の経費削減を目標とする。コスト削減で生み出した資金を、県内企業支援や顧客サービスの向上に充てる。

 

山城頭取は、大型案件などへの協調融資について言及し、「1行ではできなくても、両行でアレンジャー(幹事社)になるなどの方法がある。協調できる部分はどんどんしていきたい」と話した。川上頭取は「事業承継やM&A(企業の買収・合併)で、顧客にとってより良い形で協調できるかもしれない」と話した。

 

琉銀と沖銀は20年4月から、互いの顧客が相手行のATMを利用する際の手数料を無料にするなど、一部業務で協力をしている。

 

業務提携については、琉銀の発案で、沖縄海邦銀行を加えた3行で事務共同化の協議を19年11月から続けていた。しかし合意に至らず、昨年12月に沖銀から琉銀に打診があり、2行の提携になったという。

 

政府や日銀は地銀の経営統合を促す政策を進めているが、両行は「統合などは話し合っていない。競争関係を弱めるような行為はしない」(川上頭取)、「あり得ない。将来的にも考えていない」(山城頭取)と答えた。

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