公用語は手話と書記?声なきコミュニケーションを学ぶ

投稿日: 2017年06月21日 17:00 JST

今回お邪魔したのは「公用語が手話と書記のみ」というカフェ。
公用語とは?手話ができないわたしにもコミュニケーションがとれるのか?
その実態を探る。

 

image

 

image

 

人間は、広い世界のほんの一部で生きている。
全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ……!

 

image

東京・本郷にとあるカフェがある。
名前は『Sign with Me』

 

image

二階へ続く入り口は何の変哲もない、スープが人気のカフェだ。

 

image

しかし入って気付くことがある。
いつもなら聞こえてくるはずの「いらっしゃいませ」の声がない。

 

image

ふと店員さんを見ると、手のひらの上にグーを乗せて自分の方に引き寄せながらニコッと微笑んだ。
そう、ここは喋らない。
公用語が日本手話と書記日本語(筆談)のソーシャルカフェだったのだ。

 

店員さんはみんな、耳が聞こえない。だけど違うのはそこだけ。
とっておきの笑顔で接客してくれる。

 

image

注文をするときには、メニューを指差せばいい。

 

image

わたしがレジの横に置いてある電子版黒板「ブギーボード」を使って「オススメは?」と尋ねると、
笑いながら口から何かを出すようなジェスチャーをしてきた。
そしてメニューの「激辛・韓国風レッドカレーライス」を指差す。

 

image

なるほど、辛いものは好きか聞かれているんだ。
わたしは必死で手を横に振って、「辛いものは苦手だ!」とアピールする。
彼は悩んだ挙句、人気のメニューを教えてくれた。

 

image

やってきたのはチーズフォンデュハンバーグシチュー。
濃厚で味わい深いデミグラスに、ジューシー肉厚な手づくりハンバーグが絶妙。
さらにチーズがとろーりとろけて、
どう考えても黄金すぎるハーモニーを奏でた。

 

image

デザートにはコーヒーゼリーのパフェ。
やっぱりこれもおいしい。
たべものがおいしくて、落ち着ける。
その空間で声を発するか、発さないか、その違いだけで全く普通と変わらないコミュニケーション。
「耳が聞こえない」ということに対して身構える必要はまるでなかった。

 

image

わたしはスタッフの一員である佐々木さんに話を聞いた。

 

image

佐々木さんも先天的なろう者(耳が聞こえない人)だ。
取材はボードとパソコンを使って行われた。

 

image

「Sign with Meはどんな風にして生まれたんですか?」と聞くと、佐々木さんはパソコンをタイプする。

 

「ろう者が働く場所を作り、ろう者の職域を増やし、働けるシステムを作る。そのためにこのカフェが生まれました。耳が聞こえないだけであとは何も変わらないということを伝えたいんです」

 

もちろんスタッフはみんな「手話者」だ。

 

「うちにくるお客さんの8割は手話全く分からず、ただ純粋においしいスープを飲みに来るのです。それで、レジに行って初めて聞こえないことがわかる。はじめて来たお客さんは不思議に思うかもしれない。でも、それでいいんです。純粋においしいものをたべてもらって、少しだけろう者や手話について知ってもらえれば」

 

特別なカフェとしてではなく、普通のカフェと同じようにお客さんにゆっくりしていってほしい。
スタッフの人たちは、そんな心地よい環境を作るために働いている。

 

佐々木さんは願いを語った。

 

「ろう者は助けてもらったりしてありがとうと言うことはたくさんあっても、ありがとうと言われることがなかなかない。もしかしたら音声でありがとうって言ってもらってるかもしれないけど、聞こえないから知らない。なので、ここのカフェでスタッフは食事提供し、お客様から手話で“ありがとう”といわれるのを楽しみに頑張っています」

 

佐々木さんたちが目指す、自立可能な環境つくり。
そこには健聴者の理解も必要不可欠だ。

 

image

ずらり手話の本が並ぶ。

 

わたしたちはあらゆる個性を前に「自分とは違うもの」にはついつい壁を作ってしまいがちだが、
心さえ閉ざさなければもともとはどんな人と人の間にも壁はないのだと思う。

 

健聴者と健聴者、
健聴者と障害者、
障害者と障害者、

 

みんな同じように相手を思いやることで関係が作られる。
きっとここに来れば、「コミュニケーションを取るって難しいことじゃないんだ」と分かるはず。

 

壁のボード一面に描かれた利用者たちからのメッセージは、
まさにそれの証明のようだ。

 

image

みんなが「美味しかった」「また来たい」と口をそろえる。
人が抱えるいろんなハンデは、
ひとりじゃ乗り越えられなくてもみんなで乗り越えられることがある。
『Sign with Me』は、大切なことを気付かせてくれる場所だった。

 

image

訪れた際には、左の手の甲を右手でチョップする「ありがとう」をお忘れなく。

 

 

『Social Cafe Sign with Me』
http://signwithme.in/
本郷店:東京都文京区本郷5-23-11 野神ビル2F
月 11:00~17:00/火~土 11:00~20:00/日・祝 11:00~19:00
※連休の中休みは20:00まで

【関連記事】

ろう者でトランスジェンダーの2人が選んだ“夫婦漫才”

手話が話題のV6三宅健 リオパラリンピックで感じた“違和感”
忍足亜希子 ろう者のママ女優が語る「涙のマタニティブルー」

この記事を書いた人

記事一覧

この記事を書いた人

米原千賀子

ライター兼イラストレーター。へっぽこな見た目とは裏腹にシビれる鋭いツッコミで世の中を分析する。人呼んでうさこ。常に今日の夜ごはんのことを考えている食いしん坊健康オタクな一面も。webマガジンNeoLなどで連載中。

公式サイト
https://4bunno1.wordpress.com/
ツイッター
http://twitter.com/yonusa1
 

この記事が気に入ったら
いいね!/ フォロ− しよう

WEB女性自身の最新の情報をお届けします。

あなたにオススメ

【注目アイテム】
「メスを使わない美容整形」コルギのパワーを自宅で!!
ジェニファー・ロペス、カイリー・ミノーグが「約20歳年下彼氏」を手に入れたワケ!
45歳、奇跡の美乳・原志保さんのボディを作るヒミツのグッズ公開!!
着るだけで、エステの効果がインナーに!!
可愛い47歳! 元CA佐藤亮子さんの大人気トラベルブランド

コラム・連載

もっと見る

女性自身チャンネル

もっと見る

スヒョン入隊前の心境を吐露!U-KISSみんなで乗り越える新曲2017.10.17

U-KISSが14枚目のシングル『FLY』をリリース! 4月にケビンが卒業して以降、5人体制で挑むはじめてのシングルは苦しいことを乗り越えて前に進もうというメッセージが込められている。楽曲、そしてリ...


ランキング