専門家が警鐘を鳴らす「“再稼働”で危ない全国の原発」前編

投稿日: 2017年05月27日 20:00 JST

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「日本は地震国ですから、世界のどこの国より厳しい規制基準が適用されないといけないはずですが、原発の再稼働を急ぐあまり、国も電力会社もリスクを過小評価している可能性があります」と警鐘を鳴らすのは、北海道大学名誉教授で地球環境科学が専門の小野有五さんだ。

 

昨年、川内原発1、2号機(鹿児島県)と伊方原発3号機(愛媛県)が再稼働。今年に入り、高浜原発4号機(福井県)が5月17日に再稼働したばかり。6月には高浜3号機、夏には玄海原発3、4号機(佐賀県)と、再稼働ラッシュが続く。

 

再稼働するには、原子力規制委員会(※)が、「世界最高水準」と豪語する原発の“新規制基準”の審査に合格することと、立地自治体の合意を得ることが必要だ。しかし審査に合格した原発は、本当に安全なのか。

 

というのも福島第一原発事故の避難者が起こした集団訴訟で今年3月、前橋地裁は「事故は東電と国が津波対策を怠っていたことにより引き起こされた」として、東電と国に賠償責任を求める判決を下したからだ。冒頭の小野さんの指摘のとおり、事故前と同じように国と電力会社の事故対策に問題があるならば、再び大参事が起きかねない。

 

そこで現在再稼働中及び再稼働申請中の原発のなかで、最近明らかになってきたリスクとその理由を小野さんほか専門家らに挙げてもらい、危険な原発11のリストを作成した(表参照。再稼働ではないが、建設中の大間原発、工事中の東通原発も含む)。

 

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「それらの原発のうち、特に危険性が憂慮されるのは浜岡原発(静岡県)です。日本列島は、世界で唯一、4つのプレート(地球の表面を覆う岩盤)の上に乗っていて、プレートの交点にあるのが、浜岡原発なのです。近い将来、高確率で起きると言われている東南海地震の震源域の真上に建っているのですから、世界的に見ても浜岡ほど危険な原発はありません」(小野さん)

 

かねてから危険性が指摘されてきた浜岡原発だが、その立地も危険度が高い。

 

「日本の上空には、西からの風が吹いているので、浜岡原発で事故が起きたら首都圏は風下になり放射性物質の影響をかなり受けると予想されます」(小野さん)

 

しかし、そんなリスクの高い浜岡原発ですら、現在、安全対策を終え、再稼働に向けた審査が進んでいる。

 

記者が浜岡原発を訪れると、原発前の海岸に白い砂浜が続き、敷地を囲むように海抜22メートル、長さ1.6kmの巨大防潮堤が建てられていた。安全対策の一環という防潮堤の総工費は3千億円を超えるという。

 

「当初、壁の高さは18メートルだったんですが、国が試算した津波の高さが19メートルだったので、あとから4メートルかさ上げしたんです」と話すのは、現地を案内してくれた弁護士の青山雅幸さん。浜岡原発の廃止を求める訴訟弁護団の一員だ。

 

「浜岡原発は、河川と砂浜だったところに盛り土をして建てられたので地盤自体が弱い。巨大防潮堤をつくっても、巨大地震による“揺れ”や津波の圧力で地盤が浸食されたら、倒れてしまう可能性も大きいと専門家は指摘しています。近くに新たな活断層と思われる断層も見つかっています」

 

青山さんは海に浮かぶ灯台のようなものを指さして、こう続けた。

 

「あれは、取水塔です。津波で倒壊したり、津波で流されてきた船がぶつかったり、泥砂が詰まったりしただけでも、取水塔から水を送れなくなる可能性があります」

 

原子炉を冷やすには水が必須だが、浜岡原発は遠浅の海に面しており、日本の原発では唯一、専用の港がなく、岸壁がないので原発の真下に取水口がつくれない。そのため、沖合600メートルのところに取水塔を設置して、海底トンネルから原発構内の取水槽に海水を引き、原子炉を冷やしている。

 

「国の解析だと、あの取水塔は、21メートルの波高まで耐えられるそうですが、それを超える波が来る可能性は十分にあります。中部電力は、『5つある取水塔のうち、ひとつでも機能していれば、水を確保できる』として安全性を強調していますが、すべての取水塔がダメージを受けたらどうするのでしょうか」(青山さん)

 

浜岡原発に到来する津波の高さを、国は19メートルと試算されている。だが、前出の小野さんは、「最近、津波の高さは、地震の際、海底の活断層の動く角度が想定と少し違っただけでも大きく変わるとわかってきた」と指摘したうえで、こう続ける。

 

「私の地元、北海道の泊原発の場合、北海道電力は津波の高さを12.63メートルと試算していますが、国土交通省の試算は14.1メートル。北海道庁の試算では原発構内で7.6メートルですが、泊村の違う場所では最大で19.3メートル。場所によっては3倍近くの高さになるんです」

 

こうした試算の違いは、海底の活断層の動きを、どう評価するかで変わってくる。

 

「津波の予測は、本当はプラスマイナス2倍で考えないといけない。浜岡原発の場合は厳しく評価をしているはずだが、それでも、試算の1.5倍の28.5メートルくらいの津波がくる可能性は否定できません」

 

となると、海抜22メートルの巨大防潮堤も役に立たないのでは。

 

(取材・文/和田秀子)

 

※原子力規制委員会

原子力利用に関し、安全確保を図るために監督業務を担う政府機関。環境省の外郭団体。前進である「原子力安全・保安院」は、原子力を推進する立場の資源エネルギー庁(経産省の外郭団体)だったため、福島第一原発事故後に、適切な規制ができていなかったのではないかという批判を受け、12年に発足した。

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