東日本大震災の慰霊碑に花を手向け、香川真司選手(25)は祈り続けていた。

 

5月中旬、彼は陸前高田市を訪れた。現地の小学校では、子供たちと交流し、『香川選手 日本代表おめでとうございます ゴール 勝利を目指して頑張れー!!』と激励され、記念写真には笑顔で応じていた。

 

香川は神戸出身だが、中学1年のとき宮城県仙台市に“サッカー留学”している。高校は、仙台市の隣町、大和町にある県立黒川高校の土木科に進学。片道20キロの距離を香川は自転車で通っていた。担任だった太田祐一さん(39)は語る。

 

「’11年3月12日に、私が東京へ行くから会おうと約束していたんです。ところが前日に東日本大震災が起こりました。すぐにメールが来て、『仙台は大丈夫ですか』と。彼は、東京で東日本大震災に遭遇したのです。6歳のときにも阪神・淡路大震災を体験していると言っていました。育ったところの風景が変わってしまうという辛い経験をしています。東日本大震災でも、仙台が被害にあったことは、自分のことのように悲しんでいました。2度の震災体験が、被災地への思いをより強くしたのでしょう」

 

大震災発生時には、中学、高校時代に香川が所属した『FCみやぎバルセロナ』のチームメイトで、現在はコーチを務める佐々木俊輔さん(25)にも香川からすぐに連絡が入ったという。

 

「彼は、“大変だなぁ”と私たちを気づかってくれましたね。かつて震災を経験したからこその優しさでした」

 

香川は、第二の故郷「東北を元気づけたい!」という思いから、こんなプレゼントも。

 

「仙台は被災した子供も多くて、サッカー用品も紛失しています。彼はチームの後輩にあたる子供たち全員に靴のサイズを聞いて、合計200足を超えるスパイクを自腹で贈ってくれました」

 

東北を元気づける――。その誓いを胸に、香川はブラジルのピッチを駆け巡る。