日本サッカー協会は、原博実専務理事(55)に一任する形で、W杯敗退直後から後任監督人事を急ピッチで進めている。原専務理事がリストアップしているのは外国人監督で、本命視されているのが、メキシコ人のハビエル・アギーレ氏(55)。これに異論を唱えるのは、日本代表が銅メダルを獲得した68年のメキシコ五輪でエースとして活躍した釜本邦茂さん(70)だ。
「情報化された現代、日本人指導者が海外のサッカー情勢に疎いなんてこと、もはやないんです。一方で、言葉の壁は少なからずある。合宿先で朝いちばんに選手と顔あわせて『グッド・モーニング』のひと言で終わるのと、『おはよう、どや、元気か?』と会話できるのとでは全然違う。選手の体調や精神状態を、ちょっとした会話から把握できるのは大きな差でしょ」
そもそも、日本サッカー協会の姿勢に問題がある、と釜本さんは続ける。
「いまや400人以上の日本人が、Jリーグや代表の監督を務めることができる『S級ライセンス』を持っている。それだけの人材を活用しないでどうするんですか。協会は日本人指導者の育成を真剣に考えないと、いつまでも外国人監督に頼ることになります」
外国人監督か、日本人監督か――。本誌が30~50代の主婦を対象に実施したアンケートでは、52%の人が「日本人監督が適切」と回答。理由としては“円滑なコミュニケーション”が理由として挙げられていた。
一方、「将来的には日本人監督が理想」としながらも「現時点では外国人監督でないと」と話すのは、サッカージャーナリストの元川悦子さん。
「現在の代表チームは、半数以上の選手が海外でプレーしています。彼らが本当にリスペクトできるのは、やはり欧州など海外のビッグクラブや代表チームで指導暦のある監督でしょう。もし、その経験のない日本人が監督となって、ひとたび問題がおきたら……。『世界で戦った経験もないのに』と、監督の意見に異議を持つ選手も出てくるはず。それでは一丸となって闘うチームにはなれません」
海外経験抱負な代表クラスの選手は外国語にも堪能だ。
「こちらが考えるほど意思の疎通ができないこともない。むしろ、語学やサッカーの知識に加え、選手のメンタルまで配慮できるような、優秀な通訳を見つけることのほうが重要でしょう」(元川さん)
アンケートで「外国人監督」を推す声では、《大舞台で経験豊富な人を》(34歳・会社員)など、世界との差を考え外国人監督を、という意見が目立った。
4年後のW杯では、ぜひベスト16の壁を超える活躍を!