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「今大会は初戦を少し見ただけで、私は『ああ、大丈夫だ』と確信しましたね。すごく集中力があって、何より“いい眼差し”をしていたんです」

 

笑顔で喜びを口にする、母・平野真理子さん(46)。1月22日、全日本卓球選手権で初優勝した平野美宇(16)。今年の決勝の相手も、石川佳純(23)だった。

 

リオ五輪団体銅メダルの立役者で日本のトップ選手。昨年の全日本決勝では完敗を喫している。その苦い記憶が蘇り、弱気になってもおかしくない状況だった。それが、ふたを開けてみれば平野の圧勝という結果に。「正直、何が起こったかわからない。信じられないくらいの球を打ち返してきた」と負けた石川は、平野のプレーを称えるしかなかった。

 

16歳9カ月での史上最年少制覇。その快挙の蔭には、“夢は言葉にしなさい”という母の教えがあったという。実際、準決勝を前に平野は「今年はなんだか石川さんに勝てそうな気がする」と強気な発言をして、報道陣を驚かせている。この“夢を言葉にすること”について、真理子さんはこう明かす。

 

「優勝後、テレビ局の楽屋でやっと美宇に会えたんです。そのとき『今年は思ったことをズバズバ言うようになったね』と話しました。私はこれまでも娘に、夢や目標を語るなど前向きな発言をすることで、自分を奮い立たせることができると話してきたんです。そうしたら美宇は『ただ思ったことを口に出しているだけ。前はね、“これ言ったら言い過ぎだ”とか“嫌われる”と思ったけど、今年はなにを言われてもいいから思ったことを素直に話すようにした』と。母親としては、思ったことなら何をしゃべっても好感度は落ちないと思っているんですが。16歳の娘にしたら周囲に気遣いしていたこともあったのでしょうね」

 

“嫌われる勇気”を持って自分の意志や夢を表に出すことが好成績につながったのだと、目を細める。真理子さんは元小学校教師で、現在は山梨県甲府市郊外にある自宅の教室で卓球を指導している。平野は母の教室で3歳から卓球を始めると、才能は順調に開花。小学校に入ってすぐに全国大会で優勝を飾った。その当時から「プロの卓球選手になる」「オリンピックで金メダルを取る」などと、真理子さんは夢を言葉にさせてきたという。

 

「小さい頃は、負けず嫌いで、負けるとよく悔し泣きしていました。そこで『いやなら卓球、辞めてもいいんだよ』と私が言うと、『やる!』と言うわけです」

 

自分から“やる!”と口にしたからには、誰のせいにもできない。自分の意志で、卓球を続けてきたからこそ、逆境にも負けない勝負強さを身につけることができた。昨年、卓球界では福原愛(28)の結婚が大きな話題となった。10代の平野にとって結婚はまだ遠い未来のことだろうが、好きなアイドルはいるようだ。

 

「『Hey! Say! JUMP』の伊野尾くんのファンみたいですね。どちらかといえば、イケメンというよりも、可愛い感じの男の子が好きなんじゃないかな」

 

そんな平野に女子高生らしい夢があるという。そして、その夢も叶えるべく言葉にしているようだ。

 

「伊野尾くんに会うためか、『たまにはテレビのバラエティ番組にも出てみたいよ』と、本人が言っていました(笑)。でもまだ実現していませんね。いつかチャンスがあったらと、期待しているようです」

 

憧れの伊野尾くんと、いつか共演する日を楽しみにしながら、5月29日にドイツで開幕する世界選手権へ出場する平野。1月23日、会見で日本代表に選出されたことについて平野は、「日本一になれたので、日本人の中でいちばんいい成績でメダルをとりたい」と強気に語った。

 

そして、石川と初めて組むダブルスでは、“かすみう”コンビで金メダルを目指すという。日本一から世界一へ。平野はこれからも夢を言葉にして、その夢を実現していくに違いない――。

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