羽生結弦 北京五輪出場へ!3連覇向けチーム羽生がすでに始動

“絶対王者”の思わぬ結末に日本中がどよめいている。3月20日から行われた世界選手権に出場した羽生結弦(24)。昨年11月のGPシリーズ・ロシア杯で右足首を負傷して以来、4ヵ月ぶりの実戦復帰となった今大会。21日のショートプログラムでは出遅れるも、23日のフリープログラムでは圧巻の演技を披露。総合点で今シーズン初の300点超えを記録し、誰もが羽生の優勝を確信していた。しかしネイサン・チェン(19)がさらにそれを上回る今シーズン世界最高の323.42点を叩きだし、優勝したのだ。フリーを終えた羽生は、悔しげな表情でこう語っていた。

 

「もっと強くならなきゃいけないなと痛感しています。自分にとって負けは死も同然だと思っているので。本当に勝ちたいです。次のシーズンに向けては時間もあるのでケガしないように。そのうえで追随されないようなぐらい強くなりたいなと今は思っています」

 

果たせなかった王座奪還。だが実は、羽生は“惜敗”を糧にしてさらなる高みを見据え始めている。

 

「羽生選手は、すでに2022年の北京オリンピックに挑戦する意向を固めているそうです。ブライアン・オーサーらコーチ陣からも、準備を進めていると聞いています。“チーム羽生”はすでに動きだしているのです。目標はもちろん金メダル以外ないでしょう」(フィギュア関係者)

 

たしかに、羽生の言動もここへきて変化をみせている。今シーズン開幕前の昨年8月に行われたインタビューでは「競技者として終盤に差し掛かった?」という質問に対して「それはあります」と回答した羽生。まるで引退を示唆するかのようなこの発言は、多くのファンを動揺させた。しかし最近では、「みんながどういう演技をしても自分が頂点に立つという気持ちも、もちろんある」と答えるなど、どんどん以前の羽生節を取り戻してきているようだ。

 

そこで気になるのが年齢だ。北京五輪時には彼も27歳。最大のライバルとされるネイサン・チェンが現在19歳であることを考えると、さすがに厳しい戦いが予想される。だが、20年以上にわたりフィギュアスケートの取材を続けてきた『Japan Times』紙の記者ジャック・ギャラガーさんは次のように語る。

 

「ユヅの体形はフィギュアスケートに適した体型だ。そして太ってしまう人もいるなか、彼は完璧な体型をキープしている。おそらく30歳を過ぎても変わることはないはずだ。さらに、最近ではスケート選手の選手生命も長くなっている。ロシアのセルゲイ・ボロノフ選手も31歳でいまだ現役だ。だからユヅの場合は、北京が最後のオリンピックではない可能性だってあると思う。これは私の望みでもあるが、彼には長くスケートをしてほしい」

 

さらに、羽生にはどうしても3連覇を果たしたい理由があった。

 

「これまで男子フィギュアで五輪3連覇を達成したのは、スウェーデンのギリス・グラフストローム(享年44)ただ1人。それも90年前の話。もし羽生選手が3連覇を達成したとなると、近代フィギュア史上初の快挙。彼はいつも誰も成し遂げていないことに挑戦してきた。今回も『伝説の王者になる!』という意気込みが、彼を3度目の五輪へと駆り立てているのだろう」(ジャックさん)

 

そんな羽生の極秘特訓を目撃した人物もいる。羽生のチームメイトでもあるジェイソン・ブラウン選手(24)だ。彼は2月末に、ジャックさんがホストを務めるWebラジオ『Ice Time Podcast』へ出演。そのなかで、羽生の練習ぶりについて“鬼軍曹”と評していた。ジャックさんもこう語る。

 

「ジェイソンがユヅを“鬼軍曹”と表現した意味はよくわかる。彼はとにかく練習熱心。リンクに立って2分以内には4回転を跳んでいたそうだけど、そこからして普通とは違う。ユヅはいつも、まるで本番と同じように練習をする。彼はその大切さを誰よりも理解している。だけど、多くのアスリートはそこまで熱心に練習しない。そんな真剣なユヅの姿を見て、ジェイソンも驚いたんだと思うよ」

 

また、10年にわたって羽生を取材してきたスポーツライターの野口美惠さんはこう太鼓判を押す。

 

「羽生くんの実力からいけば、北京五輪の時点でもまだ世界トップグループにいることは間違いないでしょう。フィギュア選手の一般的な年齢でいけばかなりのベテランですが、彼であれば3連覇も十分可能なはずです。それだけ今の羽生くんの演技、プログラムは世界最高レベル。これを超えられる選手がほかにいるとは思えません。心配な点があるとすれば、年齢的に体力が落ちていくことやけがをしやすくなること。あとは、古傷のリハビリも続けていかなければならないことです。つまり自分との闘いになるでしょう」

 

世界選手権直前のインタビューで、羽生は挑戦者の顔をこうのぞかせていた。

 

「オリンピックという一番大きな試合でいちばん高いところに行けて幸せはつかみ取ってはいるとは思うんですけど、貪欲なんで。もっともっと競技者としての幸せをつかみに行きたいと思います」

 

さらなる幸せを求めて、“絶対王者”の新たな冒険はこの先も続いていく――。

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