「大坂選手はグランドスラムを2回制覇した実力者ですから、当然金メダルを取る可能性はあります。しかし最近の不安定さを見ていると、1年後にどうなっているかは正直わからないですね……」
こう語るのは、あるテニスライター。アジア人初の世界ランキング1位に輝いた大坂なおみ(21)。しかし1月の全豪オープン優勝以降、大坂はスランプが続いている。格下相手に連敗し、6月には世界ランクが2位に後退。7月のウィンブルドンでは、初戦敗退という結果に終わっていた。
不調から脱出を図る大坂は、次なる目標を見据えている。来年7月に開催される東京五輪だ。7月24日発売の『日刊スポーツ』で「金メダルを狙いに行くに決まっている」と力強く答えた大坂。さらに、彼女から驚きの言葉が飛び出した。
《旗手? 本当に? もし頼まれたら、それほど名誉なことはないわ(中略)絶対に開会式に出たいから、いいアイデアかもね》
開会式で各国の顔となる旗手に自ら立候補した大坂。しかし、旗手には“代償”がともなうという。五輪に詳しいスポーツライターはこう語る。
「旗手は日本オリンピック委員会からの推薦で決まります。これまで卓球の福原愛さん(30)や柔道の井上康生さん(41)といった、時代を代表する選手が選ばれてきました。近年は女性が務めることも多いので、大坂選手にもチャンスは十分あるでしょう。しかし旗手は開会式に向けた準備や取材があり、自分の練習時間が削られることになります。なので、活躍が期待されている選手は受けたがらないことが多いんです」
さらに、大坂には強力な対抗馬が待ち受けていた。
「テニスの錦織圭選手(29)が一番のライバルになるでしょう。前回大会では銅メダルを獲得しており、五輪での実績は大坂選手より上です。また、闘病中の池江璃花子選手(19)が復活をとげて出場した場合は、危ういかもしれませんね」(前出・スポーツライター)
大坂の前に立ちはだかる壁の数々。それでも彼女が旗手を“直訴”した裏には日本への思いが隠されていた。
「アメリカとの二重国籍を持つ大坂選手ですが、10代の頃から“東京オリンピックに日本の選手として出たい”と公言してきました。また、お母さんっ子な彼女は『お母さんの故郷である日本で有名になりたい』とも語っていました。3歳では日本を離れてアメリカで暮らしていた彼女には、“日本の人から広く認められたい”という思いが昔からあったことは確かだと思います」(前出・テニスライター)
開催まで1年を切った東京五輪。開会式で旗を高く掲げているのは大坂か、それとも――。