■2月の地震で自宅の物がぐちゃぐちゃに
世界選手権に向けて羽生が“目標としていたもの”、結果としてうまくいかず“苦悩のタネ”となったものとは何だったのか。
「まだ誰も成功したことのない、4回転半ジャンプ(4回転アクセル)への挑戦です。かねて羽生選手は、4回転半に“競技人生の最終目標”とまで語るほどの思い入れがある。“どうしても試合で降りたいんだ”と話す一方で、昨年末の全日本選手権後の会見では“まだ練習でも一度も成功していない”と明らかにしました。
全日本を終えた羽生選手は“3カ月後の世界選手権で4回転半を跳ぶ”と新たに目標を設定。そして、年が明けてから、4回転半の練習に焦点を絞って取り組み始めたのです」(フィギュア関係者)
しかし、“前人未到”のジャンプはやはり簡単ではないのだ。
「どうやって回転数を増やすのか、どうやって滞空時間を延ばすのか、器械体操などほかのスポーツのトレーニング理論なども取り入れて、試行錯誤する日々が続いたといいます」(前出・フィギュア関係者)
それでも世界選手権で披露できるめどが立たず、焦る羽生に追い打ちをかけるように心を乱すできごとが――。
「羽生選手はコロナ禍で生まれ故郷である仙台で生活していますが、2月13日深夜に宮城県と福島県を中心に強い地震が発生したのです。一部では震度6強を観測し、停電や地割れも起こりました。羽生選手の自宅も、物がぐちゃぐちゃになってしまったそうです」(前出・スポーツ紙記者)
10年前の東日本大震災を体験しているだけに、精神的なショックも受けたようだ。そんななかでも練習を続けてきたが、いよいよ世界選手権が目前に迫ったとき、羽生自ら下した選択は、4回転半の“封印”だった。
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