■一人で過ごした時間が“羽生結弦”を向上させた
世界選手権という大きな試合を終えて、つらかった今シーズンもいよいよ終わりに――。
当面の羽生のスケジュールの可能性について、前出のスポーツライター・折山さんいわく、
「通常のシーズンですと、国別対抗戦の後、練習を継続しながら多少のオフをはさんで、アイスショーなどがあったりします。今年はコロナとの兼ね合いもありますが、イベントなども増えてくる可能性はあると思います」
そうして次のシーズンのための練習へと切り替えていくわけだが、羽生の目標はもちろん“来期こそ4回転半”だろう。4回転半完成のために、羽生が分析しているものがある、と別のフィギュア関係者が教えてくれた。
「羽生さんは、ロシアの若手女子選手たちのジャンプに注目しています。彼女たちはパワーがあるわけでもないのに、軽々と4回転を跳ぶ選手が多い。その共通点を分析することで、自分の4回転半につなげようとしているようです」
引き続き、一人で練習するのかというのも気になるところ。前出の佐野さんはこう読む。
「すべてはコロナの状況次第ですから、春以降も去年と似たような状況になる可能性はじゅうぶんにありえますよね。でもここまで、孤立して、ある意味では自分の“好き勝手”にやってきたことで、いい結果が出ました。一人で過ごした時間が、羽生結弦というアスリートの全体的な質を向上させたように思います。少なくとも羽生選手は“こういう状況でもできる”ということを証明したので、今後も恐れることはないと思います」
羽生本人もこんな言葉を――。
《僕にとって今回、コーチがいない状況での練習がすごく続いたので、それもまた僕とスケートのつながりをより強くしたと思います》
孤独のなか苦悩した一方で、孤独も力に――。そのなかで磨かれてきた、前人未到の4回転半を北京五輪で成功させる羽生選手の姿をファンは待っている――。
「女性自身」2021年4月13日号 掲載